3月以来、「肉」についての情報発信を続けてきました。以前このコラムでお伝えした通り、私が肉という食材に注目する理由は、SDGsの実現に貢献するうえできわめて意義が大きいからです。
それは「透明資産」をつくっていくためにも大切です。透明資産とは、目には見えないけれど店や企業のブランド力の源泉になっているものを指しますが、その最たるものが顧客からの信頼です。そして、これから外食ビジネスが顧客の信頼を得るためには、SDGsにいかに貢献していくかが最大の鍵になってくるのです。
ここでもうひとつ、不可欠な視点があります。それは、外食である以上「おいしさ」を実現しなければならないということです。いくら地球環境に優しく、安全なものであっても、おいしくなければ消費者の支持を得ることはできません。
結果として、その食材は継続して生産することができず、食材を扱う生産者や卸業者、飲食店の存続も不可能です。それは「持続可能」なものではないのです。
持続可能であり、かつ継続して消費者の支持を得られるもの。肉はその2つの条件を兼ね備えているという点で、SDGs実現に貢献できる食材の代表といえるのです。そして、その最右翼に位置しているのが、日本が世界の誇れるもののひとつである和牛です。
和牛のおいしさは海外で高く評価されていますが、そのおいしさの中に味のよさだけでなく「生産者の想いの深さ」が含まれていることに注目すべきでしょう。飽食の時代と言われますが、現代の消費者は単にお腹を満たすためだけに食べるのではありません。
食べることによって、その食材や料理をより深く知ることができる。そうした体験こそがおいしさであり、食の価値になるのです。
質の高い和牛を生産するために、育てる牛に愛情を注ぎ、育成環境や飼料にも気を配りつつ、新しい生産技術を追求し続ける。そうした生産者の取り組みを知ることで、おいしさをより強く感じるようになる。それは日本ならではの食文化をより深く知ってもらうことにつながります。これこそ真の食のグローバル化といえます。
コロナウィルス禍が起こる前、日本は空前のインバウンド景気に沸き、外食企業の海外進出にも拍車がかかっていました。こうした動きは日本の食を海外に広く知ってもらうことにつながりましたが、その理解はまだ表面的なものであったと思います。
これからポスト・コロナの時代を迎えるにあたって、日本の食の本当の豊かさを広めていくことこそ、世界の食文化への貢献につながります。
和牛に代表される日本の肉は、食のグローバル化を先導すると同時に、日本が誇る食の透明資産を世界に広めることになるでしょう。
ー勝田耕司
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