先日、ある新聞に「忘年会、今年も自粛ムードか」という記事が載っていました。
某調査機関が20~50代の会社員を対象に調べたところ、職場での忘年会を「実施しない」と答えた人が40%近くで、「実施する」の18%を大きく上回ったとのこと。
調査時期が10月下旬だったこともあり「まだわからない」が42.5%と最多だったものの、忘年会の存在価値低下は明らか、と結論づけていました。
もちろん最大の要因は新型コロナウィルスの感染拡大で、第8波を恐れて大人数での会食を避ける傾向が顕著になっているためですが、もうひとつ「働き方の変化」も大きいと分析していました。リモートワークの浸透により、対面で人と接する機会が減っていることが忘年会離れの背景にあるということです。
そういう状況だからこそ、対面でコミュニケーションをとれる忘年会は貴重、という意見もあるようですが、あくまで少数派。「コロナ禍で忘年会は廃止になったが、とくに必要性を感じなかった」という意見が多く、忘年会という“伝統文化”は消えつつあるとも指摘していました。
忘年会が伝統文化であるかはさておき、若い人たちを中心に参加意欲が薄れていることは確かでしょう。そして、その傾向はコロナ禍前からありました。ワークライフバランスの重視や、自分の時間を大切にしたいという意識が高まるなかで、半ば強制的に参加させられる忘年会は苦痛でしかありません。
さらに大きいのは、いわゆる“飲酒ハラスメント”です。飲酒を無理強いされることによる肉体的・精神的苦痛は大きく、忘年会に限らず飲み会全体が敬遠されるようになっています。親睦を深めるための場が、かえって人間関係を悪化させてしまっては、それも無理からぬことといえます。
しかし私は、忘年会の存在価値がなくなったとは思いません。ともに働く人々、あるいは地域でともに暮らす人々が集まり、お互いに感謝の思いを伝えあう場は必要だし、それは人が生きていくうえで不可欠な「幸福感」をもたらしてくれます。
大切なのは、参加する人々が誰ひとり疎外されたり嫌な思いをすることなく、本当に楽しめる場であること。それこそ、忘年会本来の目的のはずです。
前回お話しした「ゲコノミニケーション」は、そのためにも有効です。お酒を飲む人、飲まない人がともに楽しめる場こそが、新しい時代の「飲み会」であり、忘年会のあるべき姿です。なぜなら、そこには「お互いを認め合う」という気持ちがあるからです。
今年の忘年会では、ぜひゲコノミニケーションを実践してください。集まった人々の幸福感は、忘年会の場である飲食店への信頼につながり、それが店の貴重な透明資産へと育っていくはずです。
ー勝田耕司
この記事へのコメントはありません。