開店前の準備時間に漂うピンと張った空気が、組織の未来を決めている
カフェでコーヒーを飲みながら、
朝の街を眺めていました。
シャッターがまだ半分閉まった店。
店内に灯る、少しだけ弱い照明。
「カチャ…カチャ…」
食器が触れ合う、乾いた音。
開店前。
私は、この時間帯が好きです。
そして、同時に、
経営の本質が最も露わになる時間だとも思っています。
開店前の空気は、まだ“演じられていない”
営業中の空気は、
どこか「表向き」です。
お客さんがいる。
見られている。
評価されている。
でも、開店前は違う。
・誰も見ていない
・まだ売上は始まっていない
・成果も出ていない
だからこそ、
素の空気が立ち上がる。
ピン…と張っているのか。
ボワッ…と緩んでいるのか。
それとも、
ズシン…と重たいのか。
この違いが、
一日の結果をほぼ決めています。
音で分かる、伸びる組織・止まる組織
開店前、
伸びる組織の現場では、
音が違います。
「トントン…」
「カチッ」
「サッ」
短く、無駄がない。
急いでいないのに、
遅くもない。
一方、
止まり始めている組織は、
「ガチャガチャ…」
「ドタドタ…」
「はぁ……」
音が散らかっている。
この音の違いは、
スキルではありません。
意識の向きの違いです。
開店前に流れる“無言の会話”
準備中、
多くの言葉は交わされません。
でも、
空気の中では、
大量の会話が行われている。
・今日はどんな一日になるか
・自分は何を期待されているか
・この場は安全か
誰も口にしないけれど、
身体は感じ取っている。
伸びる組織では、
この無言の会話が
前向きです。
「よし、いこう」
そんな共通のリズムが、
自然に揃っていく。
緊張感とピリピリは、まったく別物
ここで、
大事なことを一つ。
伸びる組織には、
緊張感があります。
でも、
ピリピリしていない。
・背筋がスッと伸びる
・呼吸が深くなる
・視界がクリアになる
これが、
健全な緊張感。
一方で、
ピリピリした空気は、
・肩がこわばる
・呼吸が浅くなる
・音に敏感になる
これは、
恐怖がつくる空気です。
開店前に、
どちらが流れているか。
それだけで、
組織の方向性は分かります。
社長は「開店前」に何をしているか
ここが、
経営者にとって
最重要ポイントです。
社長は、
開店前に何をしていますか。
・現場にいる
・挨拶をしている
・準備の様子を見ている
それとも、
・ギリギリに来る
・スマホを見ている
・不機嫌そうにしている
社長の“朝の在り方”は、
驚くほど正確に
空気として複製されます。
言葉はいりません。
立ち姿。
歩き方。
目線。
それだけで、
現場の呼吸が決まる。
準備時間を「コスト」と見るか「投資」と見るか
開店前の準備時間。
これを、
「売上を生まない時間」
と捉える会社は、
確実に伸び悩みます。
逆に、
「一日の空気をつくる時間」
と捉えている会社は、
強い。
準備時間に、
・確認がある
・整える余裕がある
・焦りがない
この状態が、
営業中のトラブルを
激減させます。
透明資産は、
ここで仕込まれている。
伸びる組織は、朝が静かに強い
意外かもしれませんが、
伸びる組織の朝は、
静かです。
大声も、
気合いの掛け声もない。
でも、
空気は締まっている。
例えるなら、
弓を引き絞る直前。
キリッと、
張り詰めている。
この静けさが、
一日の爆発力を生む。
開店前の5分は、未来への宣言
開店前の最後の5分。
ここで流れる空気は、
そのまま
「今日、どう戦うか」の宣言です。
・雑なら、雑な一日
・整っていれば、整った一日
・不安なら、不安な一日
すべて、
ここで決まる。
経営も同じです。
スタート前の空気が、
結果を引き寄せます。
コーヒーの香りとともに
カフェで、
コーヒーの香りを
深く吸い込みながら思いました。
開店前の準備時間は、
最もコントロールできる時間。
まだ何も起きていない。
だからこそ、
すべてを決められる。
あなたの会社の
「開店前」は、
どんな音がしていますか。
「サッ、サッ」と
整っていますか。
それとも、
「ドタバタ…」と
追われていますか。
透明資産は、
一日の始まりに、
もっとも濃く立ち上がります。
そして、その空気が、
会社を“伸ばす方向”へ
静かに押し出していくのです。
―勝田耕司
<透明資産とは?>
業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です。















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