ファストフード最大手の「マクドナルド」は依然として絶好調です。
コロナ禍における数少ない“勝ち組”とされ、その要因はコロナで起こった外食ニーズの変化に対応できたことと言われてきましたが、いまのマクドナルドにはそれにとどまらない本質的な強さを感じます。
それこそが、このチェーンの底力といえるでしょう。
そのことは、この間投入されている新商品や期間限定商品にも感じられることです。「サムライマック」や「ダブチ」シリーズは、積極的なテレビCMの効果もあってよく売れていますが、やはりそこには「売れる理由」があります。
通常メニューと比べて明らかに違う価値を盛り込み、価格の高さを納得させるものがあります。
かといって、決して奇をてらったものではありません。商品の方向性はハンバーガーチェーンとしてオーソドックスなものですし、ダブチシリーズなどは手持ちのパーツを組み合わせただけのものともいえます。
しかしそれでも、消費者がマクドナルドに求めるおいしさをきちんと実現できています。そのことが、いつも以上にマクドナルドに足を運ばせる大きな理由になっているのです。
お客様にどのような価値を提供するのか、というマーケティングの一貫性こそ、マクドナルドの最大の強さといえるでしょう。
かつて業績不振だった頃との違いは、まさにその点です。ハンバーガー半額セールなどで低価格戦略に邁進したり、“プロ経営者”に率いられて高額メニューを乱発していた頃は、チェーンとしての軸足がしっかりと定まっていませんでした。
何より問題だったのは、外食経営における基本であるQSCのレベルが維持できていなかったことです。そこに中国産チキン問題などが起こり、マクドナルドは消費者からの信頼を失うことになりました。
いまのマクドナルドは違います。店に行って感じるのはQSCのレベルの高さであり、それを守ろうとするスタッフの意識の高さです。
そこには当然、スタッフの意識が高まるような企業としての取り組みがあります。商品開発は現場の負担が大きくならないような方向で進められていますし、オペレーションの仕組みづくりも同様です。
郊外店で導入され、既存店の業績向上に大きく貢献したダブルレーンのドライブスルーも、お客様にとっての買いやすさとオペレーションのしやすさを両立した点に最大の特徴があります。
かつてのマクドナルドのキャッチフレーズ「Fun Place To Go」は、お客様に提供する価値は何かをはっきりと表していました。
いまのマクドナルドにもそれに通じる明確な企業コンセプトがあります。それこそ、同社の持つ最大の透明資産といえるでしょう。
ー勝田耕司
この記事へのコメントはありません。