〜実現すべきサスティナビリティは共存共栄。
牛タンの「ねぎし」にその理想形を見る〜
社会のサスティナビリティ(Sustainability=持続可能性)
を高めるために、外食ビジネスは何ができるのか。
それを考える際に重要なことは、
産業としての「裾野の広さ」です。
外食業は、
さまざまな産業の要素を含んだビジネスです。
料理という製品をつくるメーカーであると同時に、
お客さまに直接向き合うサービス業でもあります。
流通業や小売業の機能も持っていますし、
食材の生産を自ら手掛けるケースも増えてきました。
1次産業、2次産業、3次産業に一体的に取り組んで
新しい価値を創出する「6次産業化」でも、
外食は先行している産業のひとつです。
そうした裾野の広い産業であるがゆえに、
外食にはさまざまな分野の人々がかかわっています。
食材生産者や卸業者、
厨房設備や設計施工会社など、
関連する多くの産業に従事する人の支えがなければ、
外食というビジネスは成立しません。
「外食は人がすべて」と言われますが、
こうした観点からも人の重要性は明らかです。
外食ビジネスが存続し成長していくことは、
こうした多くの人々と共存共栄していくことにつながります。
これこそ外食業が実現すべき持続的成長であり、
サスティナビリティです。
そして、
外食ビジネスを支える人の中でもっとも大切であり、
店の「透明資産」となるのが店で働くスタッフです。
スタッフこそ最重要の資産であり、
店の主役であると位置づけること。
これが店の魅力を高めると同時に、
持続的成長の最大の原動力になります。
拙著『新発想 ゼロコスト集客術』でも紹介した、
牛タン料理チェーンの「ねぎし」は、
透明資産としての人の重要性を
深く理解している企業のひとつです。
店を訪れると、同社の経営理念である「ねぎし精神」を
見事に体現しているスタッフの姿に驚かされますが、
それは、人を大切にする企業姿勢があってこそです。
そのことは、同社の経営目的(ビジョン)に
明確に表れています。
3つのビジョンの中で、最初に挙げられているのが
「働く仲間の幸せ/人の成長・100年企業」です。
そのための取り組みとして、以下のように書かれています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「働く仲間の幸せ」と「顧客満足」を通して、
地域・社会・ビジネスパートナーから高い評価を受け、
永続的に業績も抜群に優れている100年企業を目指します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
チェーン展開をスタートしてから40年、
「牛タンといえばねぎし」という圧倒的なブランド力の源泉は、
この企業姿勢にこそあります。
そして同時に、
裾野の広いビジネスである外食だからこそできる
社会貢献とサスティナビリティのありかたを、
ねぎしは明確に示していると言えるでしょう。
ー勝田耕司
この記事へのコメントはありません。