スーパーのレジ待ちで見えた、会社の「成熟度」と「空気の正体」
カフェでコーヒーを飲みながら、
今日は何を話そうかと考えていました。
こうして一人で座っていると、
仕事のアイデアというより、
日常のちょっとした出来事が、
ふと経営の本質につながる瞬間があります。
先日、夕方にスーパーへ行ったときのことです。
仕事帰りの時間帯。
店内はそこそこ混んでいて、
レジ前には、どの列にも5〜6人ずつ並んでいました。
正直、
「混んでるな…」
と思いながら、かごを持って最後尾に並びました。
ここからです。
ここから、透明資産の話になります。
―同じ「レジ待ち」でも、空気はまったく違う
まず目に入ったのは、
レジ係の方の表情。
Aのレジは、
無表情で、ひたすら商品をスキャンしている。
Bのレジは、
少し疲れている様子で、
声も小さく、動きもやや雑。
Cのレジは、
忙しいはずなのに、
一人ひとりに短く、でもハッキリと声をかけている。
「いらっしゃいませ」
「お待たせしました」
「袋、お使いになりますか?」
特別な接客ではありません。
マニュアル通りとも言えます。
でも、不思議なことに、
Cのレジだけ、列がスッと進んでいく。
お客さんの表情も、
どこか穏やか。
同じスーパー。
同じ時間帯。
同じ商品。
同じ混雑状況。
なのに、
空気がまったく違う。
これ、会社でも毎日見ている光景です。
―行列ができる理由は「効率」ではない
多くの経営者は、
こういう場面を見ると、こう言います。
「Cのレジは処理が早いんだろう」
「段取りがいいんだろう」
もちろん、それもあります。
でも、本質はそこじゃない。
Cのレジでは、
お客さんが無意識に“協力”している。
・支払いを準備する
・前に詰める
・余計な動きをしない
誰かに指示されたわけでもないのに、
流れができている。
これが、空気の力です。
ルールや注意書きではなく、
「この場では、こう振る舞おう」という
無言の合意が生まれている。
企業で言えば、
・会議がダラダラしない会社
・報連相が自然に回る組織
・トラブル時に助け合えるチーム
これらはすべて、
透明資産が機能している状態です。
―待たされているのに、イライラしない理由
正直に言うと、
私はせっかちな方です。
レジ待ちが長いと、
つい時計を見てしまう。
でも、そのときは、
不思議とイライラしなかった。
なぜか。
Cのレジでは、
「待たされている感覚」が薄かったからです。
・進んでいる感じがする
・ちゃんと見てもらえている感じがする
・雑に扱われていない感じがする
この「感じ」が、
ストレスを消している。
経営で言えば、こうです。
・数字がすぐ出なくても、不安にならない会社
・結果が出るまで、踏ん張れる組織
・社員が辞めにくい職場
これらは、
結果ではなく、過程の空気が整っている。
―マニュアルでは空気はつくれない
ここで、重要な話をします。
Cのレジ係が、
マニュアルを完璧に守っていたから
空気が良かったのか。
違います。
もし、
「必ずこの言葉を言え」
「この角度で頭を下げろ」
だけを徹底していたら、
あの空気は生まれない。
大切なのは、
・なぜ声をかけるのか
・なぜ待たせてはいけないのか
・なぜ一人ひとりを見るのか
その背景の理解です。
企業でも同じ。
理念を額に飾っても、
唱和しても、
空気は変わらない。
行動の「意味」が共有されて、
初めて空気になる。
―空気が荒れる組織の共通点
逆の話もしておきましょう。
空気が荒れている組織には、
共通点があります。
・忙しさを理由に余白がない
・誰も全体を見ていない
・自分の仕事で精一杯
スーパーで言えば、
・レジ係が下を向いたまま
・お客さんが無言で苛立つ
・列が詰まっても、誰も気にしない
これは、能力の問題ではありません。
設計の問題です。
空気を、
「自然に任せてしまっている」状態。
―社長は、どこを見ているか
ここで、経営者に問いを投げます。
あなたは、
自社の「レジ待ち」を見ていますか?
・お客様が待っている時間
・社員が我慢している時間
・判断が止まっている時間
数字ではなく、
空気としての滞留を見ていますか?
多くの社長は、
売上や利益は見る。
でも、
その裏で溜まっている
モヤモヤや違和感には、気づかない。
スーパーのレジ待ちも、
放っておけば、
確実に「不満」という在庫が溜まっていく。
―成熟した組織は、言葉が少ない
Cのレジ係は、
多くを語っていません。
でも、
必要な言葉だけが、
適切なタイミングで出ている。
成熟した組織も、同じです。
・指示が少ない
・注意が少ない
・でも、ズレない
これは、
空気が仕事をしている状態。
透明資産が、
人の行動を自然に整えている。
―レジ待ちは、経営の縮図
スーパーのレジ待ちは、
ほんの数分の出来事です。
でも、
そこには経営のすべてが詰まっている。
・流れをつくるのは誰か
・滞りを放置していないか
・一人ひとりを見ているか
会社も同じ。
現場は、
毎日「小さなレジ待ち」の連続です。
それを、
・仕方ない
・忙しいから
・現場に任せている
で済ませていると、
空気は確実に劣化する。
―透明資産は、待ち時間に現れる
最後に、
とても大事な視点をお伝えします。
透明資産は、
うまくいっているときより、
待っているときに現れます。
・結果待ち
・承認待ち
・判断待ち
その時間を、
不安にするのか、
信頼に変えるのか。
スーパーのレジ待ちで、
イライラするか、
落ち着いていられるか。
それを決めているのが、
透明資産です。
―コーヒーをもう一口飲みながら
カフェで、
少し冷めたコーヒーを飲みながら、
そんなことを考えていました。
経営って、
特別なことをするよりも、
日常の「当たり前」をどう扱うか。
スーパーのレジ待ちは、
どの会社にもあります。
あなたの会社のレジ待ちは、
どんな空気でしょうか。
そして、その空気は、
意図してつくられていますか。
それとも、
気づかぬうちに、
溜まってしまったものですか。
透明資産は、
気づいた瞬間から、
設計できるようになります。
―勝田耕司
<透明資産とは?>
業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です










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