ローカル駅前の食堂にあった、潰れない会社の共通項
カフェでコーヒーを飲みながら、
さきほどのランチのことを思い返していました。
今日は、
少し時間が空いたので、
たまたま降りたローカル駅の前を歩いていたんです。
チェーン店もある。
コンビニもある。
でも、ふと目に入ったのは、
昔からそこにありそうな、
小さな駅前食堂。
暖簾は少し色あせていて、
看板も新しくはない。
正直、
「映える店」ではありません。
でも、
なぜか足が止まった。
これ、
経営で言うと、
すでに一つ目の透明資産が
発動している状態です。
入る前から、空気は始まっている
店に入る前、
ガラス越しに中を覗くと、
・カウンターに常連らしき人
・奥のテーブルで昼飲みしている年配の方
・厨房で黙々と動く店主
特別なことは、何もない。
でも、
落ち着いている。
「急かされなさそうだな」
「変に気を遣わなくてよさそうだな」
そう感じた瞬間、
もう勝負は決まっています。
お客さんが店を選ぶとき、
最後に決めているのは、
メニューでも価格でもなく、
その場に身を置いたときの想像です。
これも、
立派な透明資産。
注文までが、やたらとスムーズ
席に座ると、
店主が一言。
「日替わりでいい?」
押しつけでもなく、
説明でもなく、
“提案”とも違う。
でも、
不思議と嫌じゃない。
むしろ、
「それでお願いします」と
自然に言っている自分がいました。
これ、
ビジネスでも同じです。
・説明しすぎない
・選ばせすぎない
・でも、勝手には決めない
相手の思考エネルギーを、
無駄に奪わない。
この感覚が分かっている会社は、
営業も、打ち合わせも、
驚くほどスムーズです。
「早い」「安い」「うまい」では説明できない
料理は、
正直、特別なものではありません。
家庭料理に近い。
派手さもない。
でも、
箸が止まらない。
理由は、
味だけじゃない。
・提供のタイミング
・器の扱い方
・店主の動き
すべてが、
過不足なく、整っている。
ここで重要なのは、
「頑張っている感じ」がしないこと。
無理に愛想を振りまかない。
無理に会話をしない。
でも、
雑でもない。
この絶妙なバランス。
これは、
マニュアルではつくれません。
ローカル食堂が教えてくれる「持続力」
この手の食堂、
何十年も続いていることが多い。
大きく儲けているわけでもない。
流行の波に乗っているわけでもない。
でも、
潰れない。
これ、
経営者として
一番学ぶべきポイントです。
なぜ続くのか。
・固定客がいるから?
・立地がいいから?
もちろん、それもあります。
でも、
本質はそこじゃない。
「安心して通える空気」を提供しているから。
常連さんが語らなくても伝わるもの
隣の席では、
常連さんらしき人が
店主と短いやり取りをしています。
「いつもの?」
「うん」
それだけ。
そこに、
説明も、確認も、
無駄な言葉もない。
でも、
信頼関係は、
はっきりと見える。
企業で言えば、
・長く取引が続く顧客
・細かい契約を確認しなくても回る関係
・トラブルが起きても、致命傷にならない
こういう関係性は、
すべて透明資産の賜物です。
効率よりも「安定」を選んでいる強さ
この食堂、
ピークタイムでも、
無理に回転率を上げようとしません。
満席なら、
外で待つ人もいる。
でも、
急がせない。
経営的に見れば、
「もっと回せるのに」
と思う人もいるでしょう。
でも、
それをやらない。
なぜか。
一度でも、
空気が荒れると、
常連は静かに離れることを
知っているからです。
これは、
短期利益よりも、
長期安定を選ぶ判断。
社長の覚悟が、
空気として滲み出ています。
社長の「在り方」は、必ず現場に出る
この食堂の店主、
多分、経営戦略なんて
言葉は使わない。
でも、
やっていることは、
極めて高度です。
・誰を大切にするか
・何を優先しないか
・どこで無理をしないか
これらは、
すべて経営判断。
そして、その判断は、
言葉ではなく、
日常の空気として
店に染み込んでいる。
会社も、同じです。
社長が、
何を急ぎ、
何を待ち、
何を許さないか。
それが、
現場の空気になります。
「また来よう」と思わせる正体
食べ終わって、
会計を済ませるとき。
店主が一言。
「暑いから、気をつけて」
それだけ。
でも、
心に残る。
次も、
この駅に来たら、
きっと寄るだろうな、と思う。
これが、
リピートの正体です。
ポイントカードでも、
割引でもない。
感情の置き土産。
透明資産は、
こうして静かに積み上がっていきます。
派手なことをしない勇気
今の時代、
多くの会社が
「何か新しいこと」を
求められます。
でも、
このローカル食堂は、
ほとんど変わらない。
変えないことを、
選び続けている。
これも、
立派な戦略です。
経営者にとって、
一番難しいのは、
「やらない」と決めること。
この決断ができる会社は、
空気がブレません。
コーヒーを飲みながら、最後に
カフェでコーヒーを飲みながら、
ローカル駅前の食堂を思い出していました。
経営の本質は、
派手な成功事例よりも、
こうした続いている日常にあります。
あなたの会社は、
「また来よう」と
思ってもらえていますか。
社員にとって。
顧客にとって。
取引先にとって。
その答えは、
数字よりも先に、
空気が知っています。
透明資産は、
ローカル駅前の食堂にも、
確かに存在していました。
気づけるかどうか。
そして、
自社に持ち帰れるかどうか。
それが、
経営者の仕事です。
―勝田耕司
<透明資産とは?>
業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です。















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