コロナウイルス禍で厳しい状況が続く外食業界ですが、「Withコロナ」の時代を見据えた前向きな動きが出はじめています。外食大手による新業態開発もそのひとつです。
その背景にあるのが、感染が早期に終息するのは難しいという判断です。感染が広がっていくなかで、コロナと共存しながら経営を続けていけるかが重要になってきます。
それには三密を避ける、人と人の接触をできるだけ少なくすることが大事であり、それが業態開発においてもポイントになっています。
ワタミ㈱がスタートした焼肉の新業態「かみむら牧場」はその好例です。オーダーはタッチパネル端末を導入し、商品提供には回転ずしで多く見られる「特急レーン」を導入しています。
この装置の導入が人件費圧縮の柱となるとともに、スタッフとお客の接触を極力避けるという感染防止対策にもつながっています。
㈱アレフが6月からスタートした「ディッシャーズ」も各テーブルにタッチパネル端末を導入。メニューは同社の主力業態「びっくりドンキー」と同じハンバーグディッシュですが、好みのトッピングやハンバーグの枚数、ライスの量などを選んでオリジナルディッシュをつくることができます。
選択したメニューが画面上に表示されるのも便利。会計はテーブルに届く精算プレートのQRコードを自動精算機で読み取り、従業員と直に接することはありません。
かみむら牧場は郊外立地が主力で、ファミリー客を好調に集客し繁盛店が続々と登場しています。ディッシャーズは神奈川・江の島店と東京・新宿住友ビル店が同時オープンしていますが、新宿住友ビル店はカウンター席主体の客席構成をとりコロナ禍で急増している“個食”ニーズにも対応。オフィス街に立地していることもありテイクアウト販売も好調といいます。
感染の不安を極力減らすための業態づくりや提供方法を導入しているわけですが、成功の要因はそれだけではありません。何より重要なのは「キラーメニュー」を持っていることです。
かみむら牧場は、鹿児島で和牛肉の生産を手掛けるカミチクグループと提携し、A4ランクの肉が3980円で食べ放題というお値打ち価格を打ち出しています。
ディッシャーズのハンバーグディッシュも、びっくりドンキーで高い支持を得ている文字通りの看板商品。ハンバーグはもちろん「ごはん」のおいしさも定評があり、ひとつの食事としての完成度の高さは他の追随を許しません。
強い商品を持ったうえで、お客さまのニーズに近づいていく。繁盛店づくりの鉄則を貫いていることこそ、成功の要因といえます。
〝キラーメニュー〟は、透明資産マーケティングの視点でも重要だとお伝えしております。
ー勝田耕司
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