2023年はさまざまな面で再スタートの年。
年明けに実施されたイベントを見ると、その感を強くします。1月2日に皇居で行なわれた新年一般参賀では、3年ぶりに天皇皇后両陛下をはじめ皇族方が国民の前に姿を見せられました。
同日から2日間開催された新春恒例の箱根駅伝も、沿道は多くの観戦客で溢れました。
9日に決勝が行なわれた全国高校サッカー選手権大会では、応援団限定ながら声出し応援が解禁。
10日早朝に西宮神社で3年ぶりに実施された「福男選び」には、実に5000人もの参加者が集まったといいます。
こうした動きと歩を合わせるように、経済活動も着実に平時へと戻ってきています。
外食や宿泊をはじめとするサービス関連産業にとって影響が大きいのは、インバウンド需要の回復でしょう。
最大のマーケットである中国で新型コロナウィルスの感染拡大が続いていることは懸念材料ですが、中国当局がゼロコロナ政策を放棄した以上、中国から多くの観光客が再び日本を訪れることになるのは間違いありません。
感染防止のための水際対策をしっかりととりながら、徐々に受け入れ体制を整えていくことになるでしょう。
すでに欧米など他の国からは観光客が戻ってきています。インバウンドマーケットにおいても、2023年は再スタートの年になるはずです。
食材やエネルギーコストの高騰、コロナ禍による人手不足など厳しい経営環境に直面している外食業界にとって、インバウンド需要の回復は間違いなく好材料です。
この追い風をしっかりと生かしていく必要があることは言うまでもありません。しかし、ではインバウンドのマーケットが完全にコロナ前の状態に戻るかと言えば、そう単純な話ではないでしょう。
かつて団体客が押し寄せていたビュッフェ形式のレストランはコロナ禍で多くが閉店しましたし、そういう業態が以前のように支持を集めるとは思えません。
団体旅行から個人旅行へのシフトは以前から起こっていましたが、コロナ禍はそれを一気に進めることになりました。インバウンド需要においても同様で、そうしたニーズの変化をしっかり捉える必要があります。
コロナ禍が起こる前、外食業界はインバウンドの恩恵を大いに受けましたが、それに頼り過ぎたところもあります。
インバウンド対応に力を入れた結果、それまでお店を支えてくれていた固定客へのサービスがおざなりになっていた事例も多く見られました。こうした点は率直に反省し、今後に生かしていかなければなりません。
大切なのは、常連のお客様かインバウンドのお客様かを問わず、お客様一人ひとりにしっかりと向き合うこと。そして、お客様のお店に対する信頼、すなわち透明資産をつくっていくことなのです。
ー勝田耕司
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