拙著『「透明資産」実践ビジネス活用術』で、透明資産を経営に生かしている事例として「スターバックスコーヒー」を取り上げました。
スターバックスコーヒーは「人々の心を豊かで活力のあるものとするために」というミッションを掲げています。
そして、それを実践する現場スタッフの意識の高さが、お店の空間を特別なものにしています。お店の雰囲気や空気感が大きな価値になるという、透明資産の考え方を実践している代表例といえます。
スターバックスが提供しているのは、商品やサービスにとどまりません。もちろんコーヒーのクオリティや豊富なメニューバラエティ、ホスピタリティあるサービスは大きな魅力ですが、それだけが売り物ではないのです。また、お客様の来店目的も、商品を買ったりサービスを受けることだけではありません。
スターバックスの最大の売り物は、独自の「世界観」なのです。それはすなわち、コーヒーを通じて人々の心を豊かで活力のあるものにするという世界観です。そして企業としての取り組みのすべてが、この世界観にフォーカスされています。
これこそがスターバックスの独自性であり、同業他社にない強みといえるでしょう。
たとえば、この11月からスタートした「ホリデーシーズン2021」では、世界のスターバックスのホリデーシーズンで提供している商品を販売する他、ホームページやSNSで「STARBUCKS WORLD HOLIDAY MARKET」を展開しています。
エンタテインメントの要素を盛り込んだ動画や情報を通じて、世界のスターバックスホリデーとつながるデジタル体験をしてもらおうという試みです。
コロナ禍の外出自粛で増えたのが“家飲み”。それはコーヒーでも同様で、それに対応してスターバックスではオリジナルの家庭用コーヒーメーカーを販売していますが、これは急成長の新興家電メーカー、バルミューダと共同開発したもの。
「BALMUDA The Brew STARBUCKS RESERVE LIMITED EDITION」と名付けたこのモデルは、店で飲むのと同様のおいしさを実現する抽出方法に加えて、ランプの灯りなどで「いれたてのコーヒーを味わうまでのすべての時間を、豊かで活力のあるものとして演出してくれる」(スターバックスコーヒーHPより)のが魅力です。
いつでもどこでもスターバックスの世界観を楽しんでもらう。これこそがスターバックスの理念であり、その世界観に共感する人々がロイヤルカスタマーとして、全国1700店もの店舗網を支えているのです。
まさしく外食ビジネスの理想形であり、透明資産の大切さを教えてくれる格好の事例といえるでしょう。
ー勝田耕司
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