2022年の年明け早々から全国規模で広がった新型コロナウィルスのオミクロン株感染。
いまだコロナ禍の終息は遠いと感じるとともに、やはり私たちはこの感染症としばらく共存していくしかないと思わされました。ただ、それは決して「諦める」ということではありません。
コロナ禍で消費者の嗜好や行動が大きく変化したと言われましたが、その変化をむしろ積極的に受け入れ、新しい価値を提供していく方向に舵をきるべきだということです。
「いつかは元に戻る」と考えるのではなく、考え方を変え、新しい時代に向けて踏み出していく。2022年はそういう年にしていくべきでしょう。
この間、本コラムでは外食大手企業の動きを中心に取り上げ、その企業ならではの「透明資産」とは何か、それが企業戦略の中でいかに重要な位置を占めているかをお話ししてきました。
それら外食大手は、オミクロン株の感染拡大を受けて再び厳しい状況に置かれれていますが、同時に「次の一手」を着々と準備しています。そして、そこでも柱に位置づけられているのが透明資産です。
外食大手の中でコロナ禍によって大きな痛手を受けた企業のひとつがロイヤルホールディングス㈱です。機内食とホテルの2つの事業はここ10年ほど企業の稼ぎ頭でしたが、コロナ禍によるインバウンド需要の消失で不採算部門に転じてしまいました。
外食事業の主力であるファミリーレストラン「ロイヤルホスト」も外出自粛の影響を受けて厳しい状況が続いています。
そうした中で昨年、積極的に取り組んだのが冷凍食品販売の「ロイヤルデリ」です。もともとは洋食主力の惣菜事業としてスタートしましたが、巣籠り需要の拡大を受けて冷凍食品主力に切り替えました。
そこで打ち出したコンセプトが「レストランクオリティの料理を家庭でも」です。
そのコンセプトの裏付けとなっているのが、同社ならではの透明資産です。
ひとつは自社工場の高い生産能力。いまから50年前、ロイヤルホストの展開当初から稼働させてきた自社工場の生産技術やノウハウが、冷凍食品の製造にも存分に生かされています。
そしてもうひとつが、ロイヤルという企業の高いブランド力でしょう。ロイヤルホストはファミリーレストランチェーンの中で独自のポジションを築いていますが、それは調理やサービス、店の雰囲気を含めて高い品質を追求してきたがゆえです。そうした長年にわたる取り組みが、ブランド力の源泉になっているのです。
ロイヤルデリの商品は、いわばロイヤル50年の歴史が凝縮されたものと言えるでしょう。
そのことが単なる冷凍食品を超えた価値を生み、コロナ禍で消費者の支持を得ることにつながったのです。
ー勝田耕司
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