いわきスポーツクラブのホームページには「スポーツを通じて社会価値を創造する」というビジョンが掲げられています。その最初のステップが前回も触れた「いわき市を東北一の都市にする」こと。そこでの具体的な指標である「グローバルスタンダード」と「エキサイトメント」に注目したいと思います。
いわきスポーツクラブでは、あらゆる活動において「世界で最も優れたもの」を参考にし、人々を「ワクワクやドキドキ」させることができるかどうかを重要視しています。その考えのもと、サッカーチームでは勝利を求めるだけでなく、未来を担う人材の育成に取り組んでいます。
施設をつくったりイベントに取り組む際も単に利益を求めるのではなく、地域一体となって街を魅力的に発展させることこそを目標に掲げています。そうした取り組みを通じて実現したことのすべてが、いわきスポーツクラブの「透明資産」です。
私はここに、自らのフィールドである飲食店の世界との共通点を感じます。飲食店の経営の目的は、単に売上げをあげ利益を確保することではありません。「外食産業は教育産業」と言うように、人材を育成していくことは飲食店の経営において不可欠であると同時に、経営の目標でもあります。
また、飲食店の店舗はお客様を迎え入れるための“器”にとどまるものではありません。その存在が地域コミュニティの核になるし、それが素晴らしいお店であれば地域の誇りにもなる。そのお店があることによって、地域をより魅力的なものにしていくことができるのです。
コロナウィルス禍で、あらゆる飲食店が厳しい経営を余儀なくされています。経営者やスタッフなど飲食店の経営に直接かかわる人が打撃を受けただけでなく、それを利用するお客様も楽しい外食の機会を失われてしまいました。
何度も緊急事態宣言が発出され、先の見えない状況がもう1年半にわたって続いています。残念ながら、飲食店の世界からリタイアする人も少なくありません。
でもそういう時代だからこそ、何のために飲食店を経営するのかという本当の目的をあらためて確認したいと思うのです。飲食店は単に食べものを提供するだけでなく、人々を元気にするために存在しています。
お客様を楽しませ、満足させ、元気にするのはおいしい料理、ゆきとどいたサービス、居心地のよい雰囲気であり、それを形にする人です。これらすべてがその店ならではの透明資産であり、そのお店を唯一無二の存在にしているのです。
経営の目的を再確認するうえで、いわきスポーツクラブの理念と活動は示唆に富み、前進するための勇気を与えてくれます。
ー勝田耕司
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