飲食店は「待ちの商売」とよく言われます。確かに、店を構えてお客さまが来てくださるのを待つのが飲食店の基本スタイル。
だからこそ、コロナウィルス禍で街から人の姿が消えてしまったことが飲食店の経営に大きな打撃を与えました。
緊急事態宣言解除後に街の人出は戻りましたが、飲食店の客数回復の足取りは遅いままです。この状況下では「待ち」から「攻め」へ転換すべきということで、デリバリーに力を入れるケースが目立っています。
それも確かに必要なことですが、もうひとつ重要な「攻め」が積極的な情報発信です。
お店の存在を忘れないでいてもらうことが情報発信の目的ですが、それが単なる宣伝に終わってしまってはいけません。
前回「スターバックスコーヒー」のSNS発信の例でお話ししたように、お客さまにとって役立つ内容、興味をかきたてるような内容になっている必要があります。それでこそ情報の注目度も高まります。
グルメバーガーブームの立役者である「シェイクシャック」もまた、SNSによる情報発信で注目すべき事例といえます。
5月には、公式フェイスブックでオンライン料理講座の開催を案内。たびたび来日してイベントにも参加している米国シェイクシャックのカリナリーディレクター、マーク・ロザッティ氏がフィラデルフィアの名物料理「チーズステーキ」のシェイクシャック風アレンジを紹介しました。
6月にもロザッティ氏が登場し、シェイクシャックの定番メニュー「チーズフライ」にかかっているチーズソースのレシピを紹介。家庭で気軽につくれる特別レシピを公開し、実際につくってみたお客さまにレポートを投稿していただくよう呼び掛けています。
7月に入ってからは、シェイクシャックのハンバーガーを描いた可愛いタッチのイラストを投稿。これもお客さまに「#shackart」のハッシュタグを付けてイラストを投稿していただくよう呼び掛け、投稿された作品をSNS上でシェアしています。
シェイクシャックのSNSでは、お店の営業状況やモバイルオーダーの案内、季節メニューの紹介など営業に関することも多く紹介されています。
しかしそれだけでなく、お客さまとの双方向のコミュニケーションを大きな目的として位置づけ、その目的に沿った情報発信を続けていることが熱心なファンづくりに大きな効果を発揮しているのです。
いかにお客さまの心を摑めるか。メニューやサービスだけでなく、情報発信でもセンスが問われる時代になってきました。
ー勝田耕司
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