ゲコノミニケーションとは、お酒を飲む人(ノミ)と飲まない人(ゲコ)の間にある垣根をなくすこと。すなわち、分断や差別のない社会の実現につながることであると前回お話ししました。
それこそが、私が提唱する「透明資産」の考えに通じる部分であり、これからの飲食店が果たすべき重要な役割であると思います。
ノミのお客様とゲコのお客様がともに楽しく過ごせる環境をつくるには、両方のニーズに、しかもきめ細かく応えることが不可欠です。
そのために欠かせないのが、前回お話ししたノンアルコールドリンクをはじめとするメニューの品揃えですが、それだけでは十分ではありません。顧客のニーズにきめ細かく対応していくために、メニューと並んで重要なのがサービスです。
ここで、サービス本来の目的をあらためて考えてみましょう。サービスで大切なことは「顧客本位」、すなわち主体はあくまでお客様です。
お客様が食事の時間を快適に感じ、雰囲気を含めて心地よいと思って初めて、そのサービスは「よいサービス」と感じていただけます。そう思っていただくことこそがサービスの目的です。
ゲコノミニケーションにおいては、このことをしっかりと認識する必要があります。
サービスをする側が、ノミとゲコのお客様双方にとって快適な食事の時間を提供しようと考えること。これがすべてのスタートになります。
わかりやすく言えば「どちらのお客様もお店にとって大切な存在」と位置づけることです。
居酒屋などお酒が主体のお店では、どうしてもノミのお客様を優先しがちです。確かに、たくさん飲んでいただいたほうが客単価は上がるし、経営的なメリットもあります。
しかし、そうした考えは無意識のうちにお客様を差別することにつながります。それでは本当の意味でのゲコノミニケーションは実現できません。
むしろここでは、ゲコのお客様にとっての快適さを優先して追求すべきでしょう。
ノミのお客様がオーダーしたドリンクを誤ってゲコのお客様に提供したり、お客様が取り違えて飲んでしまったりすることのないよう、スタッフが気を配る必要があります。グラスやコースターをアルコールとノンアルで分け、混同しないようにするといった細かな配慮も大切になってきます。
ノンアルや微アルのドリンクを豊富に揃えて、それらを飲み放題で提供する際にも、こうしたきめ細かな対応が不可欠になります。
すべてのお客様に快適に過ごしていただき、ご満足いただこう。そうしたスタッフの思いこそが「よいサービス」となってお客様に伝わり、ゲコノミニケーションの実践につながるのです。
ー勝田耕司
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