サスティナブル

ブランドの重みと膨大なノウハウを感じる ロイヤルの「ラッキーロッキーチキン」

外食大手の“withコロナ”を見据えた業態開発が加速しています。前回は鳥貴族の新業態「トリキバーガー」を紹介しましたが、チキンを看板商品にした取り組みが目立つのが一つの傾向。万人が好む食材であることに加え、テイクアウトに強いことも理由でしょう。

 

ファミリーレストラン大手のロイヤル㈱が今年5月にオープンした「ラッキーロッキーチキン」もそのひとつ。

米国でコンフォートフード(おふくろの味)として親しまれているバターミルクフライドチキンをメインにしたファストフード業態です。

 

国産の鶏胸肉をヨーグルトや各種スパイスを加えたバターミルク液に一晩漬けこみ、独特の旨みと柔らかい食感を生み出しているのが特徴です。

 

食材は大手商社の双日のルートで調達。ロイヤルは今年に入って双日と資本提携をしており、早速その強みを生かしているわけですが、この業態にも“ロイヤルらしさ”がしっかりと表現されています。

 

スタッフのホスピタリティあるサービスはロイヤルならではのものですし、メニューにも既存のファストフードにはない価値を提供しようという意気込みが溢れています。

 

一例を挙げれば「ビネグレットキャベツサラダ」。キャベツとレッドオニオンをメインにパクチーやハーブ、ハラペーニョを加え、ワインビネガーを使ったビネグレットドレッシングで和えたサラダです。

 

サイドメニューの中では安価な280円の商品ですが、店でしっかりと手をかけフレッシュな商品に仕上げています。かつてロイヤルホストで「ディモスパンケーキ」のクオリティアップに心血を注いだように、細部にも手を抜かないというロイヤルのメニューづくりの哲学が感じられます。

 

なお、このサラダはチキンバーガーのフィリングやセットの一品としても提供しています。

 

ハンバーガーに合うドリンクといえばコーラですが、ここでもオリジナリティを発揮しています。9種類のスパイスと3種類の柑橘類を加えた「オリジナルクラフトコーラ」をラインアップ。

 

こうしたこだわりも既存のファストフードになかった部分です。

 

包材やカップにパルプを使い、ストローやフォークは自然分解される素材でつくるなど、環境に配慮した点も特筆されます。

 

もちろん、デリバリーサービスやキャッシュレス決済などwithコロナに合わせた運営スタイルをとっていることは言うまでもありません。

 

さまざまな部分で感じられる“ロイヤルらしさ”。これこそ同社がつくってきた最大の「透明資産」であり、それが既存のファストフードとの差別化につながっています。

 

一朝一夕にはできないブランドの重みと、その背後にある膨大なノウハウを感じます。

 

ー勝田耕司

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