飲食店が大切にすべき「透明資産」として、キラーメニュー(強い商品)と並んで重要なのが接客サービスです。
サービスとは、お客さまが入店されてから退店されるまで気持ちよく過ごしていただくための店側の行動すべてを指しますが、とりわけ大事なのが最初と最後、つまりお出迎えとお見送りです。
㈱ROIが手がける飲食店の顧客満足度調査「ファンくる」のデータによれば、お客さまが再来店したいと思う理由としてもっとも多いのは「料理」で、その割合は61%です。
それに対して「接客」と答えた人の割合は27%。料理に次ぐ数字ですが、その差はかなりあります。
やはりリピーターを掴む最大の要因は料理がおいしいことであり、キラーメニューがあることです。
一方で興味深いのが「再来店したくない」理由です。
これは「接客」がもっとも多く47%。「料理」はその次で、29%なのです。
いくらメニューが高い評価を得ていても、接客で不快な思いをさせたがためにお客さまが離れてしまう。
接客のまずさがすべてを帳消しにしてしまう恐れがあることを、この数字は示しています。
その接客の中でも、とくに重要視されているのが〝お出迎え〟です。
お客さまが「入店~退店の流れの中の接客で重要視する項目」としてトップに挙げているのが「入店時応対:応対が良く、歓迎ムードがある」で、全体の19%を占めています。
その次が「呼びだし時応対:迅速な反応、笑顔・丁寧な応対」で16.7%。そして、スタッフの具体的な行動として「笑顔があること」「元気な挨拶」が大事なポイントとして挙げられています。
笑顔は誰にでも伝わる、もっともわかりやすい歓迎の意思表明です。笑顔いっぱいに迎えられれば、食事の期待度は一気に高まります。
逆にスタッフに笑顔がなければ、お客さまは「自分は招かれざる客ではないか」と思ってしまいます。入口のところで顧客満足を下げてしまっては、これはサービスとは言えません。
そしてもうひとつの重要ポイントが〝お見送り〟です。
ふぁんくるのデータでも、退店時のスタッフの挨拶が「非常に元気な挨拶で声も揃っていた」場合に、接客評価は90点以上にアップします。
「外までお見送りし、5秒以上の深いお辞儀があった」場合の接客評価も同様です。「またお越しいただきたい」という気持ちをしっかり伝えることは、確実に再来店につながるのです。
お客さまを思う気持ちは、あらゆるビジネスに共通する『透明資産』です。そして、その気持ちをしっかりと表現できるスタッフもまた重要な『透明資産』
飲食店においては、そういうスタッフを育てることこそが教育の目標なのです。
ー勝田耕司
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