今年のゴールデンウィークは全国各地で大変な賑わいを見せ、いよいよ日本がコロナ禍からの本格回復に向けて動き出したことを実感しました。
そうした喜ばしい動きがある一方で、外食業界はさまざまなコストプッシュにさらされ続けています。あらためて、ポストコロナに向けてどう集客を図っていくかが、業種業態の枠を越えて業界共通の課題になってきました。
そうした中で先日、大手経済紙の『日経MJ』の編集長インタビューを受け、これから外食に求められるものは何かを、透明資産の観点からお話ししました。
ここで私が強調したのは、外食経営の“憲法”であるQSCの重要性と、ヒューマンビジネスである外食ならではの価値を提供することです。
AIをはじめさまざまな先端技術が広く浸透し、外食でもロボットによる接客など新しい取り組みが出てきています。
それらは生産性を高め、お客様により高い価値を提供するために大切なことです。しかし忘れてならないのは、外食の価値をつくりだすのはあくまで“人”であるということです。
おいしい料理をつくり、ゆきとどいたサービスを実現する人の技術に加えて、人と人との結びつきが生み出す価値もまた、外食ならではのものといえます。そして、その価値はコロナ禍を経て一層、強く求められていると思います。
インタビューでもお話ししましたが、私がフランチャイジーとして運営しているラーメン店チェーン「ラーメンまこと屋」では、月に一度のペースで子供向けのラーメンづくり体験を実施しています。
単にラーメンをつくるだけでなく、子供用のユニフォームを揃え、親御さんにはお子さんのつくったラーメンを食べていただきます。
そこで終わりではありません。食べた後の食器を下げ、洗浄して後片付けをするのも子供たちの役割。ラーメン店の仕事を一通り体験することで、ラーメンをより好きになると同時に、人を喜ばせることの楽しさも知ってもらおうという狙いです。
実際に親御さんからは「ラーメンづくり体験に参加してからは、家でも洗い物などを率先してやるようになりました」という嬉しい声をいただきます。
地域のお客様に喜んでいただくためにはじめたラーメンづくり体験が、親子の結びつきをより強固にし、人生においてもっとも大切な「幸福感」を生み出すことに貢献できていることはこのうえない喜びです。
ラーメンまこと屋でこんな体験ができた、その結果として親子の結びつきがより強固になったという事実は、間違いなくブランドの信頼感を高めます。
そして、お客様の店に対する信頼こそ、もっとも大切な透明資産なのです。この透明資産を磨くことがポストコロナの時代を勝ち抜くために不可欠であり、存続の鍵といえるでしょう。
ー勝田耕司
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