前回、商品に対する「想い」を
成長の原動力にしている事例として
「築地銀だこ」を取り上げました。
その想いこそが店や企業の透明資産であり、
そこにお客様は大きな価値を見出すのです。
築地銀だこで特筆すべきことは、
商品に対する想いがそのままお客様に対する想いに
なっていることです。
「たこ焼きには人を幸せにする潜在力がある。
そういう力を持った商品を売りたい」
という想いは、
お客様を幸せにしたいという想い、
すなわち経営理念に他なりません。
そしてそれこそが、
想いが透明資産になる理由です。
規模の大小や店数の多少にかかわらず、
外食ビジネスにおける成功のポイントは
「想いの深さが品質を決める」ということです。
帝国ホテルで長く総料理長を務め、
日本の料理界の発展に多大な貢献をした村上信夫氏は、
次のような有名な言葉を遺しています。
「料理の極意は、愛情と真心」
料理人にとって知識を増やしたり
技術を磨くことはもちろん大切。
でも、
その前に「おいしい料理をつくって喜ばせたい」
という想いがなければ、
知識や技術は
何の意味もないということです。
また、カレーチェーン「CoCo壱番屋」を
創業した宗次徳二・直美夫妻は、
その想いの大切さを
次のように表現しています。
「お客様に心から喜んでもらおうと
思って料理をつくり、サービスをすれば、
それは自然とおいしくなるんです」
宗次夫妻がCoCo壱番屋を創業する前に
名古屋で経営していた喫茶店では、
現地で当り前だった
モーニングのトースト無料提供を
していませんでした。
他の店はどこも無料で付けていた
袋入りピーナツもしっかり代金をいただき、
お客様に驚かれたこともあったそうです。
そうした無料サービスは一切しない代わりに、
大切にしていたのがお客様への想い。
当時は、くわえ煙草でコーヒーを淹れるなど
ぞんざいな対応をする店も多かったといいますが、
そうした中で宗次夫妻の喫茶店は
「他の店にはないおいしさと、居心地のよさがある店」
として絶大な支持を得るようになったのです。
そうした店の価値の源泉が、
お客様への想いであることは言うまでもありません。
そして、
その想いが現在もしっかりと引き継がれていることは、
CoCo壱番屋の高いQSCレベルが証明しています。
コロナウィルスの感染再拡大で、
外食ビジネスにとって厳しい状況が
まだ続きそうですが、、、
こういう時だからこそ
「想い」の大切さを再確認したいと思います。
ご来店いただけるお客様に感謝し、
食事を通じて幸せになっていただこう。
その想いが難局を乗り切る原動力となり、
同時に店の最大の魅力になっていくはずです。
ー勝田耕司
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