幸福感を得るために大切なのは、自分自身の「心のスペース」をしっかりとつくり、それをよい状態に保つことです。そのポイントは「今」に焦点をあてること、言い換えれば「今この時を生き抜く」ことです。
それは「マインドフルネス」と表現されますが、大事なのは今にいるために意識を一点に集中させることです。
そのうえで、外部のスペースをどうつくっていくか。スペースをつくる要素はさまざまにありますが、その中でもポイントになるのは人間の五感に関連する要素です。
光や色、音、香りや温度といった要素であり、それらがWellな状態になるかどうかは、そのスペースを使う人の心の状態が深く影響しています。
言い換えれば、スペースの状態から心の状態を読み取れるのです。
たとえば、身の回りにやたらと物が多い人。そうなるのは「いつか使うかも」と思って物を捨てられないからですが、そういう人は不安や心配から行動を起こすことが多いものです。
また、頂きものを「相手に申し訳ないから」と思って捨てられないために物が増えているという人は、相手の気持ちを優先するあまり自分の気持ちを後回しにしたり我慢することが多い傾向にあります。
物の置き方でも心の状態がわかります。たとえば、ベッド周辺にありとあらゆる日用品を置いている人がいますが、そういう人は面倒なことを避けたり先延ばしにしてしまうものです。
逆に言うと、外部のスペースをよりよい状態に保っていけば、それに合わせて心の状態もWellになっていくのです。飲食店において掃除が重要とされるのはこのためです。
掃除には経営の観点から次の5つの効果があるとされています。
①精神的効果――即行動力向上、気づき向上、利他の視点、継続力、利他力向上
②肉体的効果――作業のリスク低下、安全性向上
③時間的効果――リードタイム短縮、接客時間の増加
④経済的効果――生産性向上、不良品率低下、コスト削減、顧客満足度向上、売上向上
⑤組織力効果――自発的なリーダーシップをとれる人材育成、ボトムアップ型マネジメント、会社のブランディング、風土づくり、5S・PDCAの仕組み導入
これらはすべて心のスペースづくりに密接にかかわってきます。スタッフの心のスペースがWellであり、その状態を保つWellな外部のスペースが整っていること。
これこそ重要な「透明資産」であり、それがお客様の心のスペースをWellにしていくのです。
ー勝田耕司
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