私は常々「店の透明資産を磨く」ことの大切さを提唱しています。
透明資産とは店自体が気づいていない、でもその店の「本当の強み」になっているものです。
料理やサービス、スタッフが醸し出す雰囲気など、その店ならではの魅力は必ずある。
この透明資産を見つけ出し、SNSなどで発信していくことが、選ばれる店になるための一番の近道です。
これがすなわち「透明資産マーケティング」です。
発信すべき強みの中でも、とくに大きな比重を占めているのが料理、すなわち売り物となる商品です。
飲食店ではよく「看板商品」と言いますが、それは消費者が「あの店に行ったらあの料理」とすぐに思い浮かぶ商品のことです。
店と商品のイメージが明確に結びつけられているもの、と言い換えてもいいでしょう。
こうした商品のことを「キラーメニュー」といいます。
マーケティングの世界では「キラーコンテンツ」という言葉があり、ある特定の分野で圧倒的な力を持つ情報やサービスを指します。
Webマーケティングでもっとも有効に活用すべきものとされていますが、飲食店でのSNS発信でもこれが最重要の要素です。
キラーメニューを持つことはすなわち差別化につながり、成功する飲食店の絶対条件ともいえますが、今回のコロナウイルス禍でもそれが問われました。
多くの店が大幅な客数減に見舞われましたが、しっかりと差別化された商品を持つ店は相対的に影響が少なく済んでいます。
この間ブログでもお伝えしてきた、牛骨ラーメンが売り物の「ラーメンまこと屋」はその好例です。
多くの店が売上げ確保のために取り組んだテイクアウト販売やデリバリーでも、キラーメニューの有無が結果に表れています。
外出自粛によって人々の選択肢は極端に少なくなりました。
そうなれば、「あの店のあの料理」と頭の中に刷り込まれているメニューがまず選ばれるようになります。
東京・銀座にある焼とりの名店「鳥繁」は、焼とり以外に「ドライカレー」というキラーメニューを持っています。
締めの食事としてはもちろん、常連客が飲んだ後のお土産に買って帰るほどの人気商品で、これがテイクアウトで非常によく売れたとのこと。
ありきたりの弁当しか揃えられない居酒屋が多いなかで、圧倒的な差別化に成功したわけです。
マクドナルドやケンタッキー・フライド・チキンといったファストフードが好調だったのも、キラーメニューを持っていたからに他なりません。
今回のコロナウイルス禍は、そうした繁盛の鉄則を再確認する契機となりました。
ー勝田耕司
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