透明資産とは?

【透明資産を見つけよう】ブランドを育てる『空気感』の持続戦略5つの連鎖とは?

ブランドを育てる『空気感』の持続戦略5つの連鎖とは?

 

こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。

 

透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた経営で、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です。

 

現代の市場は、機能や価格で差別化を図ることが極めて難しくなっています。多くの企業が、技術やサービスのスペックを競い合う中で、お客様の心は次第に飽和し、どの商品を選んでいいか分からない状態に陥っています。このような状況で企業が持続的な成長を遂げるためには、競合他社には決して真似できない、お客様の心に深く根を張るブランドを築き上げることが不可欠です。

 

しかし、そのブランドは、単なる美しいロゴやキャッチコピー、広告キャンペーンだけで生まれるものではありません。その根底には、お客様が肌で感じる、言葉にできない空気感という名の無形資産が深く関わっています。私が提唱する透明資産経営とは、この空気感を単なる偶然の産物として放置するのではなく、意図的に設計し、お客様の心に響くブランドへと昇華させる仕組みのことです。

 

今日のコラムでは、空気感を核として、お客様がブランドを「好き」と思い続けるための5つの連鎖をお伝えします。それは、ブランドを一時的な流行(トレンド)で終わらせることなく、何年も何十年も愛され続ける存在へと育てるための、持続的な戦略に他なりません。

 

―1、「空気感」がブランドを形作るメカニズム

 

ブランドは、企業の理念や商品の特徴を凝縮した、お客様の心の中にある「印象」です。この印象を形成する上で、空気感は極めて重要な役割を果たします。お客様は、企業のウェブサイトやSNS、店舗、そして社員とのやり取りといったあらゆる接点から、その企業が持つ独特の空気感を無意識のうちに感じ取っています。この空気感が、お客様の感情に直接働きかけ、ブランドへの信頼や愛着へと繋がっていくのです。

 

心理学では、単純接触効果(ザイアンス効果)という現象が知られています。これは、人は繰り返し接触するものに対して、好意を抱きやすくなるというものです。透明資産経営において、ロゴやキャッチコピー、ブランドカラーといった「イメージ4本柱」を、一貫した空気感と共に継続的に発信し続けることは、この効果を最大限に活かすことになります。お客様は、ブランドが持つ空気感に触れるたびに、無意識のうちにそのブランドへの好意を積み重ねていくのです。

 

また、脳科学の観点から見ると、人間は感情が動いた時に、その体験を強く記憶する傾向があります。ブランドが提供する商品やサービスが、お客様の期待を超える感動や喜びといったポジティブな空気感をもたらした時、その感情は脳に強く刻み込まれ、「このブランドが好きだ」という確固たる印象へと変わります。逆に、不満や不信といったネガティブな空気感は、ブランドへの信頼を損ね、その後の購買行動に決定的な影響を与えます。つまり、空気感は、ブランドがお客様の心の中に築く記憶と感情の土台となるのです。

 

―2、ブランドを育てる5つの連鎖──「空気感」が織りなす持続的成長戦略

 

お客様がブランドを「好き」と思い続けるためには、単発のコミュニケーションでは不十分です。透明資産経営では、以下の5つの連鎖を意図的に設計し、循環させることで、ブランドを強固なものにしていきます。それは、企業の内部に存在する空気感を、お客様の心の中の感情へと変換し、持続的な関係性を築くための戦略です。

 

(1)記憶の連鎖>「在り方」が創り出す一貫した「空気感」

 

ブランドを持続させる最初のステップは、お客様の心に揺るぎない「記憶」を刻み込むことです。お客様は、商品やサービスの機能だけでなく、企業が持つ独特の空気感を記憶しています。この空気感を統一し、一貫性を持たせることで、お客様の心にブランドの核となる印象を深く定着させます。

 

この記憶の連鎖を生み出す鍵は、企業の「在り方」、すなわち経営者の哲学や信念です。社長が自らの創業の想いや、企業の存在意義を、日々の行動や言葉を通じて一貫して体現し続ければ、それはやがて組織全体の空気感となり、お客様に「この会社はブレない」という安心感を与えます。この一貫性は、ブランドがお客様に与える印象を確固たるものにし、記憶への定着を促します。

 

例えば、ある地方の老舗旅館が、「お客様を家族のように迎える」という哲学を掲げていたとします。社長が従業員に対して、お客様の小さな変化にも気づき、声をかけることの大切さを伝え続け、従業員一人ひとりがその哲学を実践すれば、お客様は言葉にできない「温かさ」を感じ取ります。この温かさという空気感は、お客様の心に「またあの旅館に行きたい」という強い記憶として残り、ブランドへの愛着へと繋がります。この記憶の連鎖は、ブランドを単なる商品ではなく、お客様にとっての特別な体験へと昇華させるのです。

 

(2)感情の連鎖>期待を超える「体験」が創り出す感動

 

記憶の連鎖でブランドの存在を定着させた後、次はお客様の心にポジティブな「感情」を喚起するステップです。ブランドが提供する商品やサービスが、お客様の期待を上回る体験を提供した時、その感情はブランドへの愛着へと変わります。この感情の連鎖こそが、お客様を単なる消費者からファンへと変えるための重要なプロセスです。

 

この感情の連鎖を生み出す鍵は、企業がお客様とのあらゆる接点において、意図的に心地よい空気感を設計することです。それは、店舗に入った瞬間の温かい挨拶の声かもしれませんし、ウェブサイトの使いやすさかもしれません。あるいは、商品パッケージの細部にまで込められたこだわりかもしれません。これらの体験は、お客様の五感に訴えかけ、脳内の報酬系を活性化させ、喜びや満足感といったポジティブな感情をもたらします。

 

例えば、ある地方の小さなパン屋さんが、お客様の顔や名前を覚え、「いつものパン、焼けてますよ」と声をかける文化を大切にしていたとします。お客様は、その心温まる空気感に触れるたびに、単にパンを買うだけでなく、「自分は大切にされている」という喜びを感じます。この感情は、そのパン屋さんのパンを特別なおいしさとして認識させ、ブランドへの強い愛着へと繋がります。この感情の連鎖は、お客様がブランドを「好き」と思い続けるための、強力な原動力となるのです。

 

(3)物語の連鎖>社員の「情熱」が創り出す共感

 

お客様がブランドへの愛着を深めた後、次はそのブランドが持つ「物語」に共感してもらうことで、関係性をさらに強固なものにします。人は、単なる製品の機能よりも、その製品が生まれた背景にある物語に心を動かされる傾向があります。この「物語の連鎖」こそが、お客様をブランドのアンバサダー(大使)へと変えるための重要なプロセスです。

 

この物語の連鎖を生み出す鍵は、企業の『情報局』による、社員の情熱や哲学の可視化です。多くの企業が、自社の製品やサービスの開発背景や、社会貢献への取り組みを語りたがりますが、その物語が「誰か」によって作られたものであっては、お客様の心には響きません。透明資産経営では、製品開発に携わったエンジニアの試行錯誤、お客様サポートに尽力する担当者のホスピタリティ、あるいは企業の社会貢献活動に自主的に参加する社員の姿など、社員一人ひとりの仕事に対する哲学や物語をネタとして掘り起こし、発信します。

 

例えば、ある伝統工芸品を扱う中小企業が、自社の職人が、製品の一つ一つにどのような想いを込めて作っているのか、その技術を次世代に継承するためにどのような努力をしているのかを、ウェブサイトやSNSで定期的に伝えていたとします。お客様は、その物語に触れるたびに、単なる製品以上の人間的な温かみや職人の魂を感じ取ります。この共感は、お客様の購買意欲を刺激するだけでなく、この物語を応援したい、かかわりたい、、だから「このブランドのファンであり続けよう!」という強い感情へと繋がります。この物語の連鎖は、ブランドを単なる商品を超えた、人々の心を豊かにする存在へと昇華させます。

 

(4)体験の連鎖>価値観を共有する「場」が創り出す絆

 

ブランドへの共感を深めたお客様は、そのブランドとの繋がりを、より具体的な形で「体験」したいと願うようになります。この体験の連鎖は、お客様をブランドのコミュニティの一員として迎え入れ、企業とお客様との間に強固な絆を築くための重要なステップです。

 

この体験の連鎖を生み出す鍵は、お客様がブランドの価値観を共有し、体験できる「場」を意図的に設計することです。それは、製品のワークショップかもしれませんし、社会貢献活動への参加かもしれません。あるいは、オンラインでのコミュニティかもしれません。これらの「場」を通じて、お客様はブランドが提供する価値を再確認するだけでなく、同じ価値観を持つ他のお客様や社員との交流を深めることができます。

 

例えば、あるアウトドアブランドが、自然との共生という理念のもと、お客様を招いての植林イベントや、地域の清掃活動を定期的に開催していたとします。このイベントに参加したお客様は、ブランドの理念を肌で感じ、社員や他のお客様との間に強い一体感を抱きます。この体験は、ブランドへの愛着をさらに深め、お客様をブランドの仲間という特別な存在へと変えます。この体験の連鎖は、ブランドを単なる製品を超えた、人々の人生に深く関わるコミュニティへと昇華させます。

 

(5)証拠の連鎖>外部からの「承認」が創り出す信頼

 

ブランドが持続的な成長を遂げるためには、内部からの情熱だけでなく、外部からの「証拠」による裏付けが不可欠です。お客様は、ブランドが語る物語や体験が、客観的な事実に基づいていることを確認することで、より深い信頼を置くようになります。この証拠の連鎖こそが、ブランドを単なる良い会社から揺るぎない信用のある会社へと引き上げるための重要なステップです。

 

この証拠の連鎖を生み出す鍵は、お客様の声、第三者機関からの評価、メディアでの露出といった、客観的な社会的証明を積極的に活用することです。情報局は、お客様から寄せられた感謝のメッセージやレビューをウェブサイトやSNSで公開したり、製品が受賞した賞や、メディアで取り上げられた事例を積極的に発信します。これにより、潜在的なお客様は、「このブランドは多くの人から支持されている」という安心感を抱き、購買へのハードルが下がります。

 

例えば、ある中小企業が、自社の製品が特定の分野で「日本一」や「No.1」に認定されたことを、社外からの客観的な証拠として発信したとします。これは、競合他社との差別化を明確にし、このブランドなら間違いないという強い信頼をお客様に与えます。また、この証拠の連鎖は、社内の従業員にとっても大きな意味を持ちます。自分たちの仕事が外部から高く評価されていることを知ることで、仕事への誇りやモチベーションが向上し、それがまたお客様へのより良いサービスへと繋がるという、ポジティブな循環が生まれます。

 

―3、「空気感」という名の透明資産が、ブランドの未来を照らす

 

ブランドは、一朝一夕に築き上げられるものではありません。それは、経営者の揺るぎない哲学から始まり、社員一人ひとりの日々の行動、そしてお客様との対話を通じて、何年も何十年もかけて醸成される空気感の結晶です。

 

この空気感を核として、記憶、感情、物語、体験、証拠という5つの連鎖を意図的に設計し、運用する透明資産経営は、ブランドを一時的な流行で終わらせることなく、お客様の心に深く根を張る、永続的な存在へと育てていきます。

 

ブランドは、単なる商品やサービスを超えた、お客様との約束であり、その約束を果たすための空気感を常に磨き続けること。それこそが、現代において企業が生き残り、繁栄するための最も確実な道なのです。あなたの会社は、どんな空気感でブランドを育てていますか?今こそ、その空気感を戦略的にデザインし、お客様との間に、揺るぎない絆を築いていく時です。

 

―勝田耕司

 

 

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