失敗談が語られる職場と、語られない職場──その差は「能力」ではない
カフェでコーヒーを飲みながら、
ふと、こんなことを思い出していました。
「あの会社では、失敗の話がよく出てくるな」
「でも、別の会社では、ほとんど聞かないな」
不思議ですよね。
どちらの会社にも、
失敗はあるはずです。
むしろ、
挑戦している会社ほど、
失敗の数は多い。
それなのに、
ある職場では失敗談が
自然に「ポロッ」と出てくる。
別の職場では、
シン…と
音が吸い込まれたように、
誰も語らない。
この違い、
実はとても残酷で、
そして、とても正直です。
失敗が語られない職場で、何が起きているか
失敗談が出ない職場。
一見すると、
「ミスが少ない優秀な組織」
に見えることもあります。
でも、
現場をよく見ると、
空気がどこか硬い。
・会議で発言が少ない
・報告が遅い
・確認が異常に多い
音で言うなら、
「カチ…カチ…」
歯車が噛み合っているようで、
実は摩耗している音。
失敗が語られないのは、
失敗がないからではありません。
失敗を出した瞬間、何が起きるかを、みんな知っているからです。
人は「記憶」で黙るようになる
失敗談が出ない職場には、
必ず“記憶”があります。
・昔、誰かが責められた
・冗談のつもりの一言で傷ついた
・評価が下がった人を見た
その瞬間、
空気に「ヒビ」が入る。
ヒビは、
目には見えません。
でも、
身体は覚えている。
次に同じ状況が来たとき、
喉がキュッと締まり、
言葉が引っかかる。
「やめておこう」
この無意識の選択が、
沈黙を量産します。
失敗談が語られる職場の音
一方で、
失敗談が自然に出てくる職場。
ここでは、
音が違います。
「はは…」
「いやぁ、あれは焦ったよ」
「正直、やらかした」
声のトーンが、
どこか丸い。
笑いがある。
でも、
ごまかしていない。
この笑いは、
軽さではなく、
消化されている証拠です。
語られる失敗は「終わった失敗」
失敗談が語られる職場では、
失敗は“過去形”です。
すでに、
・振り返られ
・意味づけされ
・次に活かされている
だから、
語れる。
逆に、
沈黙する職場では、
失敗は“現在進行形”。
誰かの中で、
まだ痛みとして残っている。
触れたら、
また痛む。
だから、
語られない。
社長の「失敗との距離感」が空気を決める
ここで、
経営者にとって
避けて通れない話をします。
失敗談が語られるかどうかは、
ほぼ確実に、
社長の失敗との付き合い方で決まります。
・自分の失敗を語っているか
・失敗をどう意味づけているか
・失敗した人を見る目はどうか
社長が、
失敗を「黒歴史」にしていると、
組織も失敗を隠す。
社長が、
失敗を「素材」として扱っていると、
組織も失敗を学びに変える。
言葉より、
態度です。
失敗談が語られると、空気が軽くなる
失敗談が一つ語られると、
不思議なことが起きます。
空気が、
「ふわっ」と緩む。
肩の力が抜け、
呼吸が深くなる。
「自分も、話していいんだ」
この感覚が、
挑戦を生みます。
透明資産とは、
まさにこの
安心して挑戦できる空気です。
語られない失敗は、組織を内側から腐らせる
語られない失敗は、
消えません。
むしろ、
静かに溜まる。
・同じミスが繰り返される
・責任の所在が曖昧になる
・誰も決断しなくなる
これは、
能力の問題ではありません。
空気の問題です。
沈黙は、
組織を守っているようで、
実は、
一番危険な状態です。
失敗談が自然に出る瞬間
失敗談が語られる職場では、
こんな瞬間があります。
・会議の合間
・雑談の中
・コーヒーを飲みながら
構えていないとき。
だからこそ、
本音が出る。
これは、
カフェで経営の話をするときと、
よく似ています。
コーヒーの湯気が、少し揺れた
カフェで、
コーヒーの湯気が
「ゆら…」と揺れるのを見ながら、
思いました。
失敗談が語られる職場は、
強い。
なぜなら、
もう一度、
前を向けるから。
あなたの会社では、
失敗は語られていますか。
それとも、
沈黙していますか。
その沈黙は、
安心から来ていますか。
それとも、
恐れから来ていますか。
透明資産は、
成功よりも、
失敗の扱い方に
はっきりと現れます。
そこを変えられるのは、
いつも、
社長自身です。
―勝田耕司
<透明資産とは?>
業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です。














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