「有形無形の資産」という言葉があります。
資産つまり価値あるものは形あるものに限らないということですが、これは私が提唱している「透明資産」につながる考え方です。
飲食店にとって本当の価値とは、目に見えるものではありません。お洒落な店の外観や内装、高級感のある客席、料理のボリュームや盛りつけ、品質に比して安い価格などは、他の店と差別化するための要素ではありますが、それ自体が価値あるものではないのです。
本当の価値は、その店を訪れたお客さまが「これはいい」と感じることです。そう感じるきっかけは、料理がおいしかったりサービスがよかったりすることですが、お客さまは料理やサービスを単体で評価しているわけではありません。スタッフが醸し出す雰囲気や店の居心地のよさなど、その店での体験すべてが評価の対象です。
これは店の「ブランド力」とも言い換えられます。ブランドというと高級品や稀少なもの、お洒落なものというイメージがありますが、決してそうではありません。
ブランドとは「信頼」です。
いつ行っても、どこで買っても期待通りの品質の商品やサービスが提供されていて初めてお客さまの信頼を得られるのであり、そういう店こそブランド力があると言えるのです。
そう考えると、外食業界には数多くの優れたブランドが存在することがわかります。世界に冠たる「マクドナルド」や「ケンタッキーフライドチキン」といったファストフードチェーンはその好例でしょう。また、QSCのお手本といえるカレーチェーン「CoCo壱番屋」も、日本の外食が生んだ唯一無二のブランドといえます。
それらは差別化された商品やゆきとどいたサービスだけでなく、常に期待通りの体験ができることがブランド力の源泉なのです。
私は先頃、ラーメンチェーン「まこと屋」のフランチャイズに加盟しました。9月16日のオープンに向けて開業準備の最終段階に入っており、スタッフとともに日々研修に励んでいます。
まこと屋は「牛じゃんラーメン」に代表されるキラーメニューを持っていますが、それを常に最高の状態で提供し、サービスを含めてお客さまに最高の食事体験をしていただくことが大切。企業理念や行動規範を徹底的に叩き込み体現させる。
そういう強い思いを持った人を育てることこそ研修の目的であり、まこと屋のブランド力の源泉であることを実感しています。
どんな店にも透明資産が存在しているように、店はそれぞれが独自のブランドです。それを「ブランド力」まで高めるには、お客さまにどのような体験をしてご満足いただくかを明確にし、スタッフ全員で共有することがスタートなのです。
私の考える透明資産マーケティングの要素がしっかり備わっているかたこそ、私は「ラーメンまこと屋」を自社運営することを決めたのです。
ー勝田耕司
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