〜コロナに立ち向かう医療従事者の力になる。
食ビジネスの世界で急速に広がる支援の輪〜
コロナウイルス禍における最大のヒーローは誰か。
誰に聞いても「それは医療従事者だ」という答が返ってくるでしょう。
多くの人々の命を救うために、自らの命が危険にさらされながらも懸命に治療に取り組むその姿には、本当に頭が下がります。
医療に携わるすべての人々に、あらためて深く感謝いたします。そうした医療従事者を応援しようという動きが、食の分野で広がっています。
日々の大変な仕事の中で、食事の時間は心身のエネルギーを得ていただくために大切なもの。そこに貢献することは、食にかかわる人々にとって最重要の社会貢献といえるでしょう。
そう気づかせてくれたのが、高校の後輩・貝塚弘光君(天津飯店グループ3代目)のFacebook記事でした。
「天津飯店は医療従事者の皆様を応援します!本日から東京医科大学病院様へ中華弁当を無償で提供させていただきます。飲食店として大変苦しい毎日ですが、昼夜を問わず最前線の現場で体を張り戦っている医療従事者の方々に感謝と敬意を表し、微力ながら食を通して応援していきます!」
この記事をキッカケに、私も最前線を応援することの意味を考えましたし、お客様にも伝えていくようになりました。
そこで、今回は、「自社も苦しいときだからこそ、共に乗り越えよう!」という想いで、医療従事者の方々を応援している外食業界の事例をまとめてみました。
シェフの手による本格的な料理を弁当にして医療従事者に届けようというのが「Smile Food Project」。
「シンシア」オーナーシェフの石井真介氏と、ミシュラン星付きレストランを展開する「CITABRIA」のシェフが共同で料理をつくり、最大200食、1週間で2~3の医療機関に弁当を無償で届けています。
大手~中堅の外食企業による支援の動きも活発です。
㈱ワンダーテーブルでは国内の全店で医療従事者のお客さまには会計20%オフとする他、テイクアウト商品をデリバリーするサービスも行なっています。
ステーキレストランやイタリアンレストランを展開する㈱スティルフーズは、医療従事者にはテイクアウトとデリバリーの商品を30%オフとするサービスをはじめました。
茨城を本拠地にとんかつ店を展開する㈱とんきゅうでは4月22日~27日に、つくば市内の医療機関に対して「コロナに勝つ弁当」と銘打ったとんかつ弁当1500食を無料で提供しています。
商店街として医療従事者への支援に乗り出したのが東京・台東区の蔵前商店街。
5月1日から、蔵前地区の飲食店の料理を住民に届けるデリバリーサービスをはじめましたが、その売上げの3割を医療関係者への支援に活用します。
2割を寄付金で、1割を蔵前地区に多いコーヒー自家焙煎店のコーヒーで贈る計画です。
疲れた身体には甘いものを〜という考えから、消費者と連携して医療従事者にチョコレートを届ける取り組みをはじめたのがチョコレートメーカーのDari K㈱。
一般のお客さまがネット通販サイトで購入した商品の金額に応じて、チョコレートを医療機関などに無料で提供します。
3000円を購入した場合はプレミアムチョコレート15枚という具合。
本社のある京都市内の4ヵ所の病院に5月上旬に配っており、今後はNPO法人と連携して対象エリアを広げていく考えです。
チョコレートの有名ブランドGODIVAでも、全都道府県の病院およびクリニックにチョコレートを届ける取り組みをしています(希望する機関による応募制)。
4月からはじまったこの企画は好評を得て、5月15日には第3回がスタートしました。
このように業種業態を問わずさまざまな取り組みが広がっているなか、とくに注目したいのがラーメンチェーン「まこと屋」の支援プロジェクトです。
これは4月28日に日本赤十字社とユニバーサル ミュージック合同会社が立ち上げた、医療従事者を応援するためのプロジェクト「#最前線にエールを何度でも」とタイアップしたものです。
SNSを通じて誰でも参加でき、自身で撮影した写真や動画、メッセージに、ハッシュタグ“#最前線にエールを何度でも”をつけて投稿。
すると、医療ドラマの主題歌にもなったDREAMS COME TRUEの「何度でも」に乗せて、投稿された医療従事者への「エール」が発信されるというものです。
ラーメンまこと屋では、まず、国内・国外合計41店舗の社員が参加しました。
そして、
全世界のまこと屋にご来店される月間20万人以上のお客様、お取引先様に対してこのプロジェクトの参加を積極的に呼び掛けています。
賛同いただける方には、専用用紙に応援メッセージを記入してお店に持参していただき、可能であれば写真撮影もお願いして、ラーメンまこと屋の公式SNSで発信。
5月12日にその第一弾がスタートしました。
集まったメッセージ用紙は医療従事者の元にまこと屋が届けますが、メッセージを横断幕にして寄贈する構想もあるそうです。
その際に自社のテイクアウト商品も一緒にお渡する予定とか。
以前にこのコラムでもお伝えした「お持ち帰りラーメン」がそれ。
牛じゃん、鶏じゃんの2種類のスープをお店そのままの味で楽しみ、激務での疲れを癒していただきたいという思いからです。
医療に従事する人々は、日本を、世界を救うスーパーヒーロー。
↑この写真は、まこと屋さんの活動に賛同した、高知県・酔鯨酒造さん。
↑この写真は、台湾誠屋の常連のご家族、お子様達。
このように献身的な活動を後押ししようという動きが、国内外に広がっていることは、本当に心強いことです。
いまこそ外食の底力を見せる時。
その力こそ透明資産であり、コロナ禍の苦境を乗り越える大きな原動力にもなるはずです。
ー勝田耕司
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