幸福感を得ることの大切さと、その前提となる「Well-Being」の重要性についてお話してきました。Wellとは「よりよい状態」のことであり、心身がそういう状態にあること、そのために思考したり行動することがWell-Being。それによって得られる幸福感は、性別や年齢、人種の違いを問わず人類共通のものです。
ビジネスにおいても同じことが言えます。働くスタッフや取引先、利用するお客さまなど、ビジネスにかかわるすべての人々がWell-Beingであることが成功のポイントです。
グローバルに事業を展開している企業ほど、それを強く意識し実現のための努力を続けています。Well-Beingが人類共通の価値観であることの証拠です。
コラムではこれまで、Well-Being実現のために不可欠なことについてお話してきました。そこでは、生活や仕事におけるさまざまな要素を深めていく必要があります。自分自身がWELLであるために感情をどうコントロールするか、周囲とどのような関係を築くか、など。身体を健康に保ったり、生活環境や職場環境を整えることも大切な要素であることが、おわかりいただけたと思います。
今回からは、最後の要素である「HYGGE(ヒュッゲ)」についてお話しします。この言葉は多くの方にとって聞きなれないものだと思いますが、これは北欧デンマークにおける価値観を示す言葉であり、日本語では「心地よさ」と表現されます。
北欧諸国が世界有数の福祉国家であることはよく知られています。それが国民の幸福感を高めることにつながっていますが、そもそも北欧では、人々にとって「幸福であること」が重要な価値観になっています。中でもデンマークは世界幸福度調査で毎年3位以内を維持していますが、そのベースにあるのがHYGGEなのです。
HYGGEは、特別な意識や行動を示すものではありません。日常における時間の使い方や心の持ち方を示す言葉です。生活の中でほっとくつろげる時間を持つこと、そういう時間をつくりだすことによって自然と幸福感や充実感を得ること、そして、そうした暮らしを楽しむ姿勢。これらによって心地よさを追求していくことが、デンマークの人々にとって重要な価値観になっているのです。
これこそまさに、デンマークが長い歴史の中で育んできた「透明資産」と言えます。そしていま、HYGGEに通じる価値観が世界各国でも生まれています。
その価値観は、人類共通の脅威であるコロナウィルス禍に立ち向かううえでも大きな力になるはずです。
あらゆる人々が持つべき透明資産であるHYGGE。それを得るためには何が必要なのかを、次回からお話ししていきます。
ー勝田耕司
この記事へのコメントはありません。