透明資産とは?

外食復活のために不可欠な価格引き上げ。そのための必須条件は仕事に対する誇り

今年の春は、バブル経済崩壊以後では初めてといっていい大幅な賃上げのニュースが相次ぎました。6月は大手企業を中心に夏のボーナスが前年比で大きく伸びたとも報じられています。

 

この30年間というものほとんど上昇がなく、国際的にも見劣りする水準になっていた日本の賃金が伸びに転じたのは、間違いなくいいことです。

 

しかし一方で、コストはそれ以上に上昇しています。さまざまなモノの価格が世界的に高騰していますし、ロシアのウクライナ侵攻に端を発したエネルギーコストの上昇も依然として止まりません。

 

つい最近も、ウクライナのダム破壊という暴挙がありましたが、それにより起こった洪水で農産物に多大な被害が出ています。これがさらなる物価の上昇を招くであろうことは火を見るより明らかです。

 

賃上げのニュースがいくら報じられても、生活が豊かになったという実感にいまひとつ結びつかないのはそのためですが、しかし賃金上昇という流れはしっかりと維持していかなければなりません。

 

それには「きちんとしたお代をいただくこと」が何より大事です。

 

いま外食業界では、未曾有の人手不足に見舞われています。その最大の要因は、新型コロナウィルス禍で閉店や廃業が相次ぎ、多くの労働力が外食から去ってしまったことです。

 

そして、そうした人の多くは、コロナが終息し営業が再開したいまも外食に戻ってきていません。外食の仕事が好きで、やりがいを持って働いていた人がほとんどだったはずですが、、、

 

コロナ禍で仕事を奪われ生活が不安定になったことで復帰に二の足を踏むというケースも多いはずです。

 

去ってしまった労働力を取り戻すため、外食業界でも賃上げの動きが相次いでいます。都心部などでは、パート・アルバイトの時給は過去にない水準に上昇しています。

 

そうした賃金を支払うためには、何よりも労働生産性を向上させ賃金原資を増やしていく必要がありますが、同時に欠かせないのが先述した「きちんとしたお代をいただくこと」。すなわち、価格を引き上げていくことなのです。

 

日本は「お客様第一主義」が浸透しているという点で世界でも稀な国と言われますが、バブル崩壊後はそれが少し間違った方向に進んでしまったように思います。

 

低価格こそお客のニーズとばかりに価格引き下げ競争に走ったことで、日本の外食の価格水準は世界的にみて低いものになってしまいました。そのことが結果的に、外食で働くことの「誇り」を損なうことになったのではないでしょうか。

 

働く一人ひとりが、自分の仕事に対する誇りを持っていることこそ、店や企業の最大の透明資産なのです。コロナ禍からの復活のためには、その資産価値を取り戻すことこそが出発点になります。

 

ー勝田耕司

 

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