「想い」の強さが商品やサービスのクオリティを決め、それがお客様の満足度を大きく左右する。
これはあらゆるビジネスにおける鉄則ですが、とりわけ外食ビジネスでは店の競争力を決定する重要な要素になります。
その想いをどのように表現し、お客様にわかりやすく伝えていくかが成功のポイントになるのです。
前回のコラムで、想いとは店や企業の透明資産であるとお話ししました。つまり、想いを表現し伝えていくことこそが、私が提唱してきた「透明資産マーケティング」の本質です。
外食ビジネスにおいては、その具体的な手法は多岐にわたります。メニューづくりやサービス方法などにとどまらず、店づくり(外装や内装)、販売促進、広告宣伝など実にさまざまであり、これは外食ビジネスの特性と言えます。
そして、お客様の支持を継続して得ている店や企業は、いずれの手法においても想いをはっきりと伝えています。
たとえば、大手の外食チェーンが展開しているテレビCM。回転寿司でトップを独走する「スシロー」は、「旨いすしを、腹いっぱい」というチェーンのコンセプトを、ボリューム十分のネタが画面上で躍動するビジュアルによって明確に表現しています。
ハンバーガー最大手の「マクドナルド」は、コロナウィルス禍でも絶好調を維持していますが、それを支える要因のひとつが期間限定メニューの好調な売れ行きです。
見逃せないのが、商品自体のクオリティに加えて、商品それぞれに「ストーリー」を持たせていること。最新メニューの「サムライマック」のCMでは、幕末を舞台にしたドラマで商品の持つインパクトを表現しています。
レギュラーメニューにはない価値をお客様に体験してもらおうという想い、すなわち商品コンセプトをはっきりと伝えているわけです。
「ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)」のCMコピー「今日、ケンタッキーにしない?」は、いまやチェーンのコンセプトを表現する言葉になりました。
クリスマスをはじめ、ちょっと特別な時に利用する店だったKFCを、ランチなど日常的な動機でも使ってもらえるようにしようというのが、このコピーに込められたそもそもの想い。
そして、頻度高く利用してもらうために店のレベルを高めたこと、すなわちQSCを磨き続けたことが、コロナ禍でもKFCが成長を続ける最大の原動力になったのです。
想いとは、お客様にどのような満足度を提供し、それによってどう社会に貢献していくかということです。
大手外食チェーンは、その想いを伝える努力を続けてきたからこそ、社会のインフラというべき存在になれたのだと言えるでしょう。
ー勝田耕司
この記事へのコメントはありません。