〜この状況下で業績絶好調のマクドナルド。
危機で問われるのは企業が蓄積した底力〜
日本経済全体が甚大な被害を受けている今回のコロナウィルス禍。
消費者に直結したビジネスの代表である外食はもっとも影響が深刻な業種のひとつです。
個人店や中小企業はもとより、3桁以上の店数を持つような大チェーンでも赤字に転落したり、企業存続が危ぶまれる事態に追い込まれるケースが出てきています。
ところが、そうしたなかで異次元ともいうべき好調さを維持している企業があります。
言わずと知れた世界最大の外食ブランドである「マクドナルド」です。
日本マクドナルドホールディングス㈱の発表によれば、今年1月~3月の第一四半期決算では売上高が1419億円で、前年同期比5.5%の増収となっています。
営業利益と経常利益はマイナスとなったものの、多くの外食企業が赤字に追い込まれるなかでもしっかりと利益を確保。
何より驚かされるのは、既存店売上高が前年比5.3%のプラスとなっていることです。
この要因として、テイクアウトやデリバリーのニーズを確保できたことが大きいと言われています。
これはケンタッキー・フライド・チキンなど他のファストフード大手にも共通することで、ファストフードという業態の強みを生かしたといえますが、注目したいのは背後にあるノウハウの巨大さです。
外食のニーズがイートインからテイクアウトやデリバリーに急速にシフトする状況で、その変化を捉えてしっかりと売上げ増に結びつける仕組みが、マクドナルドにはあったということです。
とくに注目すべきはドライブスルーのノウハウで、注文と受け渡しの窓口を2ヵ所設ける「ダブルレーン」が売上げアップに大きく貢献しています。
実際に店に行ってみると提供はスムーズで、ピーク時の“瞬発力”がきわめて高いことがわかります。
テイクアウトでも、オーダーカウンターのスタッフを増員するなどで提供スピードを向上させていますが、同時に感染対策をしっかりとっていることにも感心させられます。
お客さまへのアルコール消毒の呼びかけは、ファストフードでは際立って徹底しています。
また、利用を休止しているイートインスペースの客席を移動させ、そこにカラーテープで誘導線を引いて、お客さまが間隔を空けて列をつくれるようにしている店もありました。
昨年の決算で創業以来最高の売上高を達成し、このところ絶好調だったマクドナルドですが、コロナウイルス禍における取り組みがチェーンのブランドをさらに高めることは間違いないでしょう。
危機において何よりも問われるのは、それまで蓄積してきた企業の底力であることを実感させられます。
この〝企業の底力〟も、目に見えないけれど経営で大切な透明資産だと考えています。
ー勝田耕司
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