〜フードロス削減に技術を活用する食品メーカー。
その視点は外食企業でも不可欠になる〜
こんにちは!
透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
昨年10月に、
「食品ロスの削減の推進に関する法律」
(略称:食品ロス削減推進法)が
施行されました。
第五条には、
「事業者の責務」として
以下のように定められています。
「事業者は、その事業活動に関し、
国又は地方公共団体が実施する
食品ロスの削減に関する施策に
協力するよう努めるとともに、
食品ロスの削減について
積極的に取り組むよう努めるものとする」
農林水産省によれば、
2016年の日本の食品ロス(フードロス)は
643万トンと推計されています。
そのうち家庭から出るものが
291万トンであるのに対して、
食品関連事業者から発生する事業系食品ロスは
352万トンで、約55%を占めます。
フードロスを削減するために、
食にかかわる産業が果たすべき役割の大きさが、
こうした数字にも表れていると言えるでしょう。
事業者のうち「製造者」として大きな比重を占めるのが
食品メーカーと外食企業です。
食品メーカーではここにきて、
商品開発を通じてフードロス対策に
取り組もうという動きが顕著です。
たとえば、パンや菓子類で
大きなシェアを持つ山崎製パン㈱。
人気商品の「ランチパック」のパンは
食パンを繰り抜いたもので、
大量の「パンの耳」が副産物として発生します。
この耳を有効活用してラスクをつくり、
「ちょいパクラスク」として販売。
この商品は環境に優しい商品として
エコプロ大賞・環境大臣賞を受賞しました。
他にも「まるごとバナナ」製造時に出る
バナナやスポンジの端材を
パウンドケーキやパイなどに活用し、
商品の幅を広げています。
業務用食品メーカーでも
取り組みが進んでいます。
高品質な洋食系ソースやスープで知られる
キスコフーズ㈱は、
オマール海老を使った
「ジュ・ド・アメリカン」と「フォンドオマール」という
ブイヨンのロングセラー商品を持っていますが、
製造時にオマール海老の
大量の殻が発生します。
これを活用したのがソースの人気商品である
「HCQアメリケーヌソース」。
素材自体のクオリティに加えて、
真空調理をはじめ最先端の加工技術を生かした
品質の高さが評価され、
ホテルレストランなどで
導入されています。
食品メーカーはこれまで、
おいしさの追求や生産効率向上のために
さまざまな技術を開発してきました。
それに加えて、
フードロス削減のために技術を活用するという
動きが出ていることに注目すべきでしょう。
こうした視点は今後、
外食企業でも欠かせないものになってきます。
おいしいだけでなく、
環境にも優しい。
そういう存在であること自体がお店の
「透明資産」となり、
本当の意味での
地域貢献につながるはずです。
ー勝田耕司
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