透明資産とは?

外食をとりまくすべての人々と連携してゲコノミニケーションの実践に取り組もう

先日、大手ビール会社のアサヒビールが日本経済新聞にユニークな全面広告を掲載していました。

 

カラフルな文字で「スマドリ SMART DRINKING」とあり、その下には「飲み方を、もっと自由に、もっと自分らしく。」のキャッチコピーが。これはすなわち、アサヒビールが提唱する「ゲコノミニケーション」のあり方です。

 

「スマドリ」の考え方については、このように書かれています。

 

・・・・・・・・・・

お酒を飲みたい時、飲めない時、そして、あえて飲まない時、

飲む人も、飲まない人も、ひとりひとりが、

自分の体質や気分、シーンに合わせて、

適切なお酒やノンアルコールドリンクをスマートに選べる時代へ。

・・・・・・・・・・

 

最後にある「スマート」という言葉は、一般的には「格好いい」とか「シンプル」「スタイリッシュ」といった意味に使われていますが、ここではもっと幅広い意味を含んでいます。

 

誰かに気兼ねしたり、ストレスを感じたり、無理をするのではなく、自分らしくあるということ。他人に対しても、何かを強要したり、自分のペースに無理やり合わせることを求めたりしない。つまり、ここでいうスマートとは、人として自然であるということを意味しているのです。

 

日本を代表するビールメーカーであり、総合飲料メーカーとして社会的にも大きな存在であるアサヒビールがこうしたメッセージを打ち出すことは、きわめて意義のあることだと思います。

 

アサヒビールは微アルコール飲料の「ビアリー」など、アルコール離れが進む中で消費者のニーズを摑むためのさまざまな商品開発に取り組んできました。しかし、メーカーの存在意義は単に商品を市場に供給することだけではありません。

 

商品を通じて新しいライフスタイルを提案することが大事であり、そのためには明確なメッセージが必要です。今回、アサヒビールがゲコノミニケーションの推進を企業の使命として打ち出したことは、大きな意味があると思います。

 

これまでコラムでお伝えしてきたように、ゲコノミニケーションを実践することは人が生きるうえで最も大切な「幸福感」の実現につながります。

 

お互いの存在を認め、尊重し合うことによって、ともに過ごす時間が楽しく、幸福感に満ちたものになる。それこそがゲコノミニケーションの目的であり、最大の意義なのです。そして、飲食店こそが、そうした人と人とのつながりをつくる場となるべきです。

 

ビールメーカーをはじめとする周辺産業の人たちとも連携して、新しい時代のコミュニケーション産業の担い手をめざしましょう。

 

そこで生まれる人の輪(和)は、間違いなく貴重な透明資産として、お店や企業の価値を高めることになるはずです。

 

ー勝田耕司

関連記事

  1. 透明資産とは?

    日本ならではの特別な外食体験。その価値を磨くことこそインバウンド本格回復の鍵

    先日の日本経済新聞に「インバウンド消費が本格回復の兆し」という趣旨の記…

  2. 透明資産とは?

    「想い」を伝える透明資産マーケティングは外食大手が社会のインフラになる原動力

    「想い」の強さが商品やサービスのクオリティを決め、それがお客様の満足度…

  3. 透明資産とは?

    KFCの透明資産は商品に対するこだわり。コロナ禍はそれを磨く機会になった

    「透明資産」は店や企業が持つ有形無形の資産であり、長い歴史の中で積み重…

  4. 透明資産とは?

    価格アップを着実に進めるマクドナルド。その鍵は高い体験価値がつくる透明資産

    コロナウィルス禍での外食の勝ち組の代表とされるファストフード最大手の「…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 透明資産とは?

    野菜の自社栽培という決断をした壱番屋。 企業の前進を支えるのは大きなビジョン
  2. 透明資産とは?

    食文化の観点から見た肉を扱う意義は 「食の原点」を見つめなおすことにある
  3. 透明資産とは?

    スターバックスのSDGsへの取り組みは地域貢献という貴重な透明資産を生む
  4. 透明資産とは?

    肉を育てる「ファミリー」の一員になる、その意識こそが透明資産につながる。
  5. 透明資産とは?

    高いQSCと、お客様に寄り添う姿勢。さらに輝きを増す「餃子の王将」の透明資産
PAGE TOP