コロナウィルス禍で大手チェーンを含めて多くの外食店が休業を余儀なくされました。
中にはファストフードなどテイクアウトやデリバリーのニーズ急増の恩恵を受けた業態もありますが、ほとんどの店は大幅な売上げダウンに見舞われました。
経営悪化に対する公的支援の動きが鈍いなかで、なんとか持ちこたえることに懸命だったのがここ数ヵ月間の外食業界だったといえるでしょう。
ですが、ただ耐えるだけの期間にしてしまったのではいけません。これを「透明資産を磨く」ための時間に充てられたかどうかが、コロナ後の経営の成否を分けると思います。
商品を見直す、サービス向上のための教育をするなど取り組みはさまざまに考えられますが、とくに重要なことは「店の売り」を維持しつつ、それを広く知ってもらうための取り組みを続けることでしょう。
つまりは情報発信であり、それがお店の存在を忘れられないでいてもらうために不可欠です。
大手外食チェーンの中で、これに積極的に取り組んだのが「スターバックスコーヒー」です。
店舗が休業している間はコーヒー豆などのオンライン販売に力を入れてきましたが、それと並行して公式ツイッターやフェイスブック、インスタグラムによるSNS投稿を継続してきました。
それが単に店側の情報発信にとどまらず、お客さまに寄り添う内容になっていたことが重要です。
たとえばSNS上で「自宅でのおいしいコーヒーの淹れ方」についての質問を募集。それに対して、バリスタをはじめスターバックスのコーヒースペシャリストがSNSを通じて答えました。
また、フォロワーから自宅でコーヒーを楽しんでいる様子を寄せてもらい、それに休業中の店舗スタッフがメッセージを付けて投稿。
それに対してお客さまから多くの投稿が寄せられるなど、双方向のコミュニケーションが活発になされています。
スタッフの中には、スターバックスのコーヒーでフレーバーを付けたパンを焼き、写真とともにツイッターに投稿した人もいます。
これにもフォロワーのお客さまから次々にコメントが寄せられました。お客さまにとっては、実際の店舗でスタッフとコミュニケーションをとっているような感じがしたことでしょう。
スターバックスコーヒーは外食大手の中で、スタッフのモチベーションがきわめて高いチェーンのひとつです。
商品やサービスにスタッフが愛着を持ち、そのよさを伝えたいと強く思っていることが積極的なSNS発信につながっているのです。
透明資産マーケティングの本質を理解し、実践している好例といえるでしょう。
ー勝田耕司
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