透明資産とは?

【透明資産を見つけよう】世界のサッカークラブが教える「空気感」の経営学~熱狂スタジアムと透明資産の共鳴

世界のサッカークラブが教える「空気感」の経営学~熱狂スタジアムと透明資産の共鳴

 

 

こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。

 

透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた経営で、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながるのです。


企業の競争優位性を語る上で、私たちはとかく、財務諸表の数字や市場シェアといった、目に見える指標にばかり目を向けがちです。しかし、真に持続可能な成長を遂げる企業には、それらを超越した、組織全体に満ちる独特の「空気感」が存在します。この「空気感」こそ、透明資産経営の核心であり意図的に設計・運用することで企業の競争力を飛躍的に高める無形資産です。

この「空気感」の力を最も雄弁に物語る舞台。それは、世界中のスタジアムで繰り広げられるサッカーの試合です。10万人を超える観衆が一体となり、選手と感情を共有し、スタジアム全体が揺れるような熱狂的な「空気感」を創り出します。この熱狂は、単なる応援を超え、クラブのブランド価値を築き、選手やチームのパフォーマンスを最大化させる力となります。

今日のコラムでは、世界の著名なサッカークラブを例に、彼らがどのようにしてこの「空気感」を醸成し、それをビジネスの成功へと繋げているかを深く考察します。そして、このスタジアムで生まれる「空気感」の原理を、いかにして現代の企業経営に活かせるかを解説していきましょう。

 

―1、スタジアムの熱狂が示す「空気感」の力

 

スタジアムで生まれる熱狂は、選手とサポーターという二つの要素が共鳴し、高め合うことで生まれる「空気感」の結晶です。これは、企業における「成果」を生み出すプロセスと驚くほど共通しています。どれほど優れたスキルを持つ選手が集まっても、サポーターの応援というエネルギーがなければ、チームのパフォーマンスは限定的です。これは、社員が互いに協力し、信頼し合う「空気感」がなければ、個々のスキルが最大限に発揮されない企業と同じです。

透明資産経営は、このサポーターの熱狂にあたる社員が安心して力を発揮できる環境を意図的にデザインし、組織全体の「空気感」を最適化するための仕組みです。世界のトップクラブは、この「空気感」を創り出すことで、ただのスポーツチームではない、揺るぎないブランドと強固なコミュニティを築き上げています。

2、世界のサッカークラブに学ぶ「空気感」のデザインと運用

 

ここからは、世界の著名なサッカークラブを例に、彼らがどのようにして独自の「空気感」を創り出し、それを企業の競争優位性へと変えているのかを見ていきましょう。

FCバルセロナ|「クラブ以上の存在」という哲学が創るコミュニティの「空気感」

 

スペインの名門、FCバルセロナは、Més que un club(クラブ以上の存在)というスローガンを掲げています。これは、単なるサッカークラブではなく、カタルーニャの文化やアイデンティティを体現する存在であるという、揺るぎない「在り方」を示しています。この哲学は、サポーターとの間に強固な絆を築き、スタジアムに独特の「空気感」を生み出しています。

バルセロナのスタジアム「カンプ・ノウ」の観衆は、単なる観客ではありません。彼らはクラブのソシオ(会員)として、経営に意見を述べ、クラブの歴史を共に創る一員です。このオーナーシップを持つ社員が安心して力を発揮できる環境は、選手とサポーターが一体となって戦う「空気感」を醸成します。

 

この哲学は、企業経営においても示唆に富んでいます。企業が、単なる商品やサービスを提供する場ではなく、社員やお客様が共有する文化や価値観を体現する存在となることで、強固なコミュニティを築くことができます。これは、社員のエンゲージメントを高め、お客様を熱心なファンへと変える、透明資産の源泉となるのです。

②レアル・マドリード|「白い巨人」の誇りが育む勝利への「空気感」

 

レアル・マドリードは、その圧倒的な勝利へのこだわりと、常に最高峰を目指す姿勢から、白い巨人と称されます。彼らの「在り方」は、勝利こそが全てという哲学に集約されており、この揺るぎないプライドが、スタジアムに独特の緊張感と高揚感に満ちた「空気感」を創り出しています。

マドリードの選手たちは、この「空気感」の中で、常に最高のパフォーマンスを発揮することが求められます。サポーターの熱狂的な期待は、選手にプレッシャーを与えるだけでなく、逆境の中でも諦めない力となります。これは、企業におけるプロフェッショナリズムと高い目標への挑戦という「空気感」に例えられます。

透明資産経営において、社長が明確な「在り方」として高いビジョンを掲げることは、組織に緊張感と活気をもたらします。社員は、この「空気感」の中で、自らの「やり方」を常に磨き上げ、最高の成果を追求するようになります。レアル・マドリードの事例は、高い目標を掲げ、それに挑戦する「空気感」が、組織全体のスキルとモチベーションを最大化させることを教えてくれます。

③リヴァプールFC|「You’ll Never Walk Alone」が繋ぐ絆の「空気感」

イギリスの名門、リヴァプールFCが歌うYou’ll Never Walk Alone(君は一人じゃない)は、単なる応援歌ではありません。それは、クラブの「在り方」を象徴する哲学であり、選手、サポーター、そして街全体が一つになる、深い絆に満ちた「空気感」を創り出しています。

リヴァプールのスタジアム「アンフィールド」の観衆は、苦しい時こそ、この歌を大合唱します。この歌は、選手にサポーターが共に戦ってくれているという安心感を与え、困難な状況を乗り越える原動力となります。これは、企業におけるチームワークと助け合う文化という「空気感」に他なりません。

この「空気感」は、社員が安心して自分の意見を発信し、たとえ失敗しても仲間が支えてくれると信じられる、強固な信頼関係を育みます。企業が「You’ll Never Walk Alone」のような哲学を共有し、社員が互いに支え合うことで、組織は逆境に強く、イノベーションを起こしやすい体質へと変わります。リヴァプールの事例は、理念を共有する「空気感」が、組織の強靭さを生み出すことを示しています。

④ボルシア・ドルトムント|熱狂的なホームが創る「社員が安心して力を発揮できる環境」

ドイツの強豪、ボルシア・ドルトムントは、世界で最も熱狂的なサポーターを持つクラブの一つとして知られています。特に、ホームスタジアム「ヴェストファーレンシュタディオン」の「黄色い壁」と呼ばれるゴール裏の観客席は、選手とサポーターが一体となった、圧倒的な「空気感」を創り出します。

ドルトムントのサポーターは、試合開始前から終わりまで、途切れることのない応援で選手を鼓舞し続けます。この熱狂的な「空気感」は、選手にホームで負けるわけにはいかない!という強い責任感とモチベーションをもたらします。これは、企業における社員の当事者意識と組織への貢献意欲に例えられます。

この「空気感」を企業に活かすためには、社員がこの会社は自分たちの手で創っていくものだと感じられるような仕組みが必要です。例えば、社員が経営に意見を述べる機会を設けたり、成功を全員で祝い、互いの貢献を称え合う文化を醸成したりすることです。ドルトムントの事例は、社員一人ひとりの情熱を最大限に引き出し、それを組織全体の力へと変える「空気感」の重要性を教えてくれます。

⑤バイエルン・ミュンヘン|常勝軍団の「プロフェッショナリズム」が創る「空気感」

ドイツの絶対王者バイエルン・ミュンヘンは、その強さの秘訣を、組織全体の隅々まで浸透したプロフェッショナリズムに見ています。彼らの「在り方」は、常に最高の成果を追求し、勝利にこだわるという、揺るぎない哲学にあります。この哲学は、クラブ全体に規律と高い目標意識に満ちた「空気感」を創り出しています。

バイエルンの選手たちは、試合だけでなく、日々のトレーニングや私生活においても、常にプロとしての意識を高く持つことが求められます。このプロフェッショナリズムという「空気感」は、チーム全体に高い基準を設け、互いに切磋琢磨し合う文化を醸成します。

この「空気感」は、企業経営に大きなヒントを与えます。社長が、プロフェッショナルとしての「在り方」を明確に示し、社員がそれに共鳴することで、組織全体のスキルとパフォーマンスは飛躍的に向上します。バイエルンの事例は、明確な「在り方」が、社員の「やり方」を洗練させ、組織全体の基本スキルを底上げする、透明資産の源泉となることを示しています。

⑥アヤックス・アムステルダム|育成哲学が創り出す「未来」への「空気感」

オランダの名門、アヤックス・アムステルダムは、育成のアヤックスとして世界的に知られています。彼らの「在り方」は、自らの手で未来のスターを育てるという哲学に集約されており、これがクラブ全体に、希望と成長に満ちた「空気感」を創り出しています。

アヤックスでは、若手選手がトップチームで活躍することがクラブの伝統となっています。この文化は、若手選手に自分もいつかあそこに立つという強いモチベーションを与え、ベテラン選手にも後進を育てるという使命感をもたらします。この「空気感」は、企業における社員の成長と未来への希望というテーマに深く繋がります。

透明資産経営において、企業が社員の成長を最優先する「在り方」を示すことは、組織に活気と希望をもたらします。社員は、自分のキャリアパスが明確であり、会社がそれをサポートしてくれると感じることで、仕事への意欲を最大限に高めます。アヤックスの事例は、長期的な視点での「育成」という「空気感」が、組織に永続的な競争優位性をもたらすことを証明しています。

⑦マンチェスター・ユナイテッドFC|「レジェンド」たちが語り継ぐ伝統の「空気感」

 

マンチェスター・ユナイテッドFCは、その長い歴史の中で、数々のレジェンドを生み出してきました。彼らが築き上げた伝統は、クラブの揺るぎない「在り方」となり、スタジアムに独特の重厚な「空気感」を創り出しています。

ユナイテッドの選手たちは、このレジェンドたちが築いた偉大な歴史と伝統を背負ってプレーします。この「空気感」は、選手にクラブへの深い愛着と、歴史に名を刻むことへの強いモチベーションを与えます。これは、企業における創業者の想いや企業理念が、社員に深く浸透している状態に例えられます。

透明資産経営において、企業の歴史や創業者・レジェンドの想いを語り継ぐことは、組織に一体感と誇りをもたらします。社員は、自分たちはこの歴史の一部なんだと感じることで、仕事への深い意味を見出します。ユナイテッドの事例は、過去の栄光を透明資産として活かし、それを未来へのエネルギーに変える「空気感」の重要性を示しています。

⑧パリ・サンジェルマンFC|多様な才能が共存する「グローバル」な「空気感」

フランスの強豪、パリ・サンジェルマンFCは、世界中からトップクラスの選手を集め、多様な文化が交錯するグローバルな「空気感」を創り出しています。彼らの「在り方」は、世界最高のタレントが集い、一つのチームとして勝利を目指すという哲学にあります。

この「空気感」の中で、選手たちは、言葉や文化の違いを乗り越え、互いの個性を尊重しながらプレーします。この環境は、異なる強みを持つ選手たちが、互いに補完し合い、チームとしてのパフォーマンスを最大化させる原動力となります。これは、現代の企業が目指すべき多様性と協調性が共存する「空気感」に他なりません。

透明資産経営において、多様な背景を持つ人財を受け入れ、その個性を活かすことは、企業の競争優位性を高める上で不可欠です。社員が、互いの違いを認め合い、そこから新しい価値を創造できる「空気感」を醸成することで、組織はグローバルな競争に打ち勝つ力を手に入れることができます。

⑨レスター・シティFC|奇跡の優勝が創り出した「挑戦者」の「空気感」

2015-16シーズンにプレミアリーグを制覇したレスター・シティFCは、世界に奇跡を起こしたクラブとして知られています。彼らが成し遂げた偉業は、豊富な資金力やスター選手に頼るのではなく、自分たちは挑戦者だという強い「在り方」と、それに共鳴するチーム全体の「空気感」から生まれました。

レスターの選手たちは、この「空気感」の中で、互いに信頼し合い、誰一人として手を抜くことなく、ハードワークを厭いませんでした。この環境が、個々のスキルを凌駕するほどの、チームとしての結束力を生み出したのです。
レスターの事例は、企業経営において、成功の鍵は必ずしも潤沢なリソースやブランド力だけではないことを教えてくれます。社員が私たちは挑戦者だという共通の「在り方」を共有し、互いに信頼し、高め合う「空気感」を創り出すことで、大企業にも負けない、圧倒的な組織力を手に入れることができるのです。

―3、透明資産経営が描く、熱狂を価値に変える未来

 

世界のサッカークラブが持つ熱狂は、単なる感情の爆発ではありません。それは、クラブの揺るぎない「在り方」と、選手とサポーターが築き上げる社員も選手もサポーターも安心して力を発揮できる環境が共鳴し、意図的に創り出された透明資産です。

これらの事例は、企業経営において、いかに「空気感」が重要であるかを雄弁に物語っています。社長が明確な「在り方」という羅針盤を示し、社員一人ひとりの個性を活かし、互いの関係性を深めることで、組織全体に熱狂的なスタジアムのような「空気感」を創り出すことができます。

この「空気感」は、社員のモチベーションを最大化し、イノベーションを巻き起こし、結果として企業の業績を飛躍的に向上させます。そして、このポジティブな「空気感」は、商品やサービスを通じてお客様にも伝わり、深い信頼と愛着を育みます。

透明資産経営は、単なる組織マネジメントの枠を超え、企業を人々の心を動かす存在へと昇華させるための哲学です。私たちは今、目先の利益だけでなく、この見えない「空気感」という資産をどれだけ大切に育めるかが、未来の企業価値を決定づける時代に生きています。世界のスタジアムで響き渡る熱狂のエネルギーを、自社の「空気感」として取り入れ、永続的な成長を創り出していきましょう。

 

 

―勝田耕司

 

 

 

 

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